冒頭で例を挙げたように、仕事についてネガティブな話を先にすることは、日本人らしい謙虚さとも言えますが、これは日本を離れると伝わりません。
海外だと「じゃあ、あんまりよくないんだ」「本人が92点っていうくらいだから、完璧じゃないんだね」と、受け取られてしまうわけです。
海外アーティストのインタビュー記事などを読むと、「みんな自分をちゃんと肯定しているし、したいことをしたいとはっきり伝えている」と感じます。
いま僕はアメリカに住んでいるので、余計にそう思います。遠慮していると、順番は回ってきません。
日本の文化圏で育ってきたモーニング娘。のメンバーたちも、「謙虚さ」という感覚をもっていました。「私なんて別に」「私みたいな子が」というような気持ちですね。
僕はこの感覚自体は日本人らしい、誠実さにつながる素敵なものだと思います。横柄になったり、上から目線になったりしては他人から信用されないからです。
ただ、「舞台に上がったときや楽曲のインタビューを受けるときは、100%の自信をもって、自分をアピールしてほしい」と伝えてきました。
モーニング娘。への講義
以前、モーニング娘。のメンバーたちに「ノートの右側に自分の好きな部分やいいところ、左側に自分の嫌いな部分やよくないところを書いてみて」と伝えて、その場でやってもらったことがあります。
すると、メンバーのほとんどは、「いいところ」を書くより「よくないところ」を書くほうが、さらさらとペンが進んでいるんです。
いいところを書き出すのはなんとなく恥ずかしいし、「このあとつんく♂さんが読み上げるかもしれない」「書いた内容がみんなに知られてしまうかもしれない」と思うと、躊躇するのもわかります。
でも、僕はこう言いました。
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