インドネシア高速鉄道、「試乗会」で見えた実力 最高時速は350km、「中国式」らしさはある?

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ハリムへの公共交通機関によるアクセスは、高速鉄道と同時並行的に整備が進められてきたLRT Jabodebek(ジャボデベック)を利用することとなる。

インドネシア高速鉄道路線図

高速鉄道は、日本案(新幹線方式)では中心業務地区のドゥクアタスまで乗り入れる予定だったが、実際にはハリム発着となり、都心と郊外のデポック、ブカシまでを結ぶLRTがアクセス輸送を担うことになった。こちらも8月28日からソフト営業を始めており、9月下旬時点でハリム駅では高速鉄道利用者に限り乗降が認められている。同地区には国内線専用のハリム・プルダナクスマ空港もあるが、現時点で高速鉄道、LRTとの接続は図られていない。

筆者は自宅の最寄り駅から通勤鉄道のKCIコミューターラインに乗車し、LRTと接続するチャワン駅で乗り換え(LRT側の駅名はチココ)、ハリムへ向かった。チココからハリムまでは3駅で、所要時間10分ほどだ。通勤鉄道が停車せず、至近駅からタクシーやバイクタクシー、または渋滞に巻き込まれがちなバスウェイでしか到達できないガンビルより、とくにジャカルタ南部の在住者にとっては便利であると感じる。

LRTジャボデベック
ハリム駅へのアクセスを担うLRT Jabodebek。乗り換え客を考慮してハリム駅では停車時間を長めに取っている(筆者撮影)
インドネシア高速鉄道 ジャカルタのターミナル位置

LRTは、バスターミナルがあるカンプンランブータンやブカシティムール(ジャティムルヤ)などもカバーしており、首都圏の幅広いエリアからのアクセスが容易である。また、ガンビルから特急に乗るような客層は、運転手付きのマイカーで乗り付けることも多く、そういった点でも郊外で高速道路からのアクセスも良好なハリムに始発駅を置いたのは結果的に最適解だったといえそうだ。

中国式巨大駅でも「漢字」はなし

日本案ではジャカルタ側のターミナルとしていくつかの場所が候補に挙がり、ハリムもその1つだったが、進路方向の土地が確保できないとして選定から漏れていた。しかし、実際に建設された中国案では高速道路に並行、つまりそのままバンドン方面に出発可能な位置に巨大なターミナル駅が造られた。

高速鉄道のハリム駅はLRT駅から500mほどの連絡通路で直結しており、動く歩道が設置されている。筆者の乗車したLRTには、同じ9時発の試乗会列車に乗車する鉄道ファンのグループも乗り合わせており、足早に高速鉄道駅に向かっていった。

高速鉄道ハリム駅 LRT車内から
LRT Jabodebekの車内から見た高速鉄道ハリム駅(筆者撮影)

ハリム駅はこれぞ中国式高速鉄道ターミナルといえる堂々たる駅舎であるが、同じく「一帯一路」政策のもとに建設されたラオス・中国鉄道のような漢字表記の巨大な駅名看板は見られない。駅の案内サインもインドネシア語と英語のみの極めてシンプルなデザインだ。2022年9月に高速鉄道車両がインドネシアに到着したとき(2022年9月6日付記事「インドネシア『中国製高速列車』上陸と今後の行方」参照)もそうだったように、中国カラーは消されている。

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