大阪万博会場・夢洲の「野鳥の楽園」が喪失危機 渡り鳥が飛来する湿地を埋め立てリゾート開発
調査グループの加賀まゆみさん(70)は最初に見た夢洲の光景をこう振り返る。「ペンペン草も生えないゴミの埋め立て地と聞いていたのに、カモの仲間のホシハジロが5000羽、猛禽類が上空をホバリングしていて、目を疑うような野生の王国でした」。
環境団体の監査請求は却下された
そこは今、どうなっているのか。大阪港湾局(大阪市の組織)は2019年から湿地の固化・地盤改良工事を進めてきた。セメント系の固化剤を入れた後、ペーパードレーンというプラスチックと紙でできている「吸い取り紙」のようなものをたくさん打ち込んで水を抜き、圧密させて固めて土を入れる作業中だ。
万博協会は大阪市の条例に基づき、環境影響評価(アセスメント)手続きを行った。環境アセス準備書はおおむね、生物多様性や生態系への影響について問題なしとするものだったが、これについて2022年2月に出された市長意見は「鳥類の生息・生育環境に配慮した整備内容やスケジュールなどのロードマップを作成し、湿地や草地、砂れき地などの多様な環境を保全・創出すること」と注文をつけた。
これを受けて2022年4月、大阪自然環境保全協会は「大阪港湾局によるウォーターワールド予定地の埋め立て及び地盤改良工事は違法・不当」とする住民監査請求を大阪市に提出した。しかし翌5月、この監査請求は却下された。
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