アントニオ猪木を睨みつけた"逸材"が今語ること 新日本プロレス・棚橋弘至が語る"本物"の記憶

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――棚橋さんから見て、猪木さんのすごさは何だと思いますか?

誰もしないことに挑戦し続けるパイオニアであることですかね。アントン・ハイセル(※1)にしても、モハメド・アリ戦にしても、採算度外視で、あと先考えずに「面白いか」「面白くないか」だけで判断していくのが、強みというかすごいところです。大借金を抱えて、それを返していくのが(新日本プロレスの)坂口征二相談役でしたけど(笑)。

猪木さんには、社会にプロレスを認めさせたいっていう、マイノリティがゆえの反骨心もずっとあったんだと思います。

(※1:世界のエネルギー問題、食糧問題を解決するために猪木氏が立ち上げ、失敗して多額の負債を抱えたバイオテクノロジー事業)

強さも含めて「格好いい」

――猪木さんのプロレス観やスタイルから棚橋さんが学んだことは?

猪木さんはすごくファッショナブルだったんです。プロ野球選手やサッカー選手は、移動のときにドレスコードがあったりしますけど、それまでプロレスラーはタンクトップにトレーニングウェアみたいなイメージでした。けれど猪木さんは、移動のときはスーツでカチッと決めて、もともと手足が長くてスタイルもいいから格好よかった。だから僕も、新幹線や飛行機に乗るときはジャケットを着用することも多く、プロアスリートとしていつ見られてもいいようにしています。「いつ何時、誰に見られても格好いい」っていうね。

日頃からおしゃれなことでも知られる棚橋弘至選手(撮影:今井康一)

――リングの上だけでなく、日ごろから格好よくあり続けてこそプロだと。

猪木さんに憧れてプロレスラーを目指す人がたくさんいたのは、強さも含めて格好いいからなんです。だからプロレスも大きくなってきたわけで。同じように僕が格好よければ、「棚橋みたいになりたい!」っていう人が増えて、プロレスというジャンルがこれからも続いていくんじゃないかな。今、新日本プロレスに入門してきている選手たちは、猪木さんを(リアルタイムで)見ていなくて、「棚橋を見てプロレスを好きになった」っていう選手も結構多くて。順繰りなんですね。

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