タカタ、リコール費用はどれだけ膨らむのか エアバッグ問題で全米リコールが3400万台に
タカタでは、2015年3月期に特別損失として556億円のリコール関連費用を計上しているが、2014年11月以降に米国や日本で拡大した調査リコールの費用は含まれていない。不具合の原因が不明で、合理的な金額が見積もれないとして、費用計上を見送ってきたからだ。この分が約1000万台とみられ、加えて3000万台近く(5月中旬に発表した日系メーカー4社のグローバルベースの約1000万台と、米国で追加される約1800万台の合計)のリコール費用が発生するおそれがある。
タカタが2012年度と2014年度に計上したリコール関連の特別損失は合計856億円で、対応する台数は約1000万台。これを単純に当てはめると、追加で約4000万台ともなれば、費用は3000億円超。タカタの純資産約1500億円が簡単に吹き飛ぶレベルだ。
それだけでなく、エアバッグ問題では米国やカナダで集団訴訟も起こされている。米当局や政治家からは”悪者”呼ばわりされており、制裁金を課されるおそれもある。実際、トヨタは意図せぬ急加速問題から、集団訴訟と制裁金で2000億円強を支払う羽目になった。
それでも部品はタカタ頼み
タカタが公表している2016年3月期の業績見通しは最終利益200億円(2015年3月期は295億円の最終赤字)。これは現時点で「金額を合理的に見積もることは困難」という理由から、リコール関連費用を織り込んでいないためだ。費用を認識するタイミングにもよるが、全米リコールの拡大を受けて、黒字化はかなり不透明になっている。
自動車ビジネスの特性もあり、すぐに他社製品に切り替えることはできない。タカタはエアバッグで世界シェア2位の大手で取引量が多い。交換部品の供給で、ダイセルやオートリブといったほかのメーカーに協力を仰いでいるものの、タカタが主体とならざるを得ない状況だ。
巨額のリコール費用にタカタが押しつぶされてしまうと、自動車メーカー自身の生産が滞るおそれもあり、事態収束を”傍観”するわけにもいかない。日本自動車工業会の池史彦会長(ホンダ会長)は22日の定例会見で、今後、タカタが強いられるリコール費用の支払いで、「各社とも(分割払いなどの)話し合いに応じる覚悟はあると思う」と述べた。同社との取引量の多さに比例して、自動車メーカーの悩みは深まる一方だろう。
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