有休中の部下に「出社要請」、適法なのか 「強制はしていない」では済まされない
ようやく有給休暇を取得できたその日の朝。「ちょっとトラブったんだけど来てほしいな。お前がいないと困るんだよ。頼むよ」。そんな電話がかかってきたら、どう対応すべきだろうか。
というのも、ある管理職の社員がネットの掲示板に「有休を取った部下を出社させている。出社を強制しているわけではないから問題ない」と書き込んでいたからだ。
この投稿者は、仕事で困ったことが起きると、冒頭のように電話をかけるそうだ。部下は「え? 今日有休なんですけど」と動揺しつつも、最終的には「わかりました」と承諾して、出社してくるという。
トラブル時だから仕方ない?
ネットでは「有休は労働者の権利のはず。上司は横暴すぎるのでは?」などと非難の声が多数あがった。トラブルが発生したからとはいえ、有給休暇を取っている部下に対して、上司が出社を求めても、問題ないのだろうか。大部博之弁護士に聞いた。
「上司が有休を取った部下に出社を求めることが、適法な『時季変更権の行使』といえるかを考える必要があります」
大部弁護士が指摘した「時季変更権」とは、会社が年休(有給休暇)取得を拒否する権利のことだ。労働者が日付(時季)を指定して年休を申請したとき、取得を認めると業務の正常な運営を妨げるおそれがある場合に、年休の取得を拒否することができる。