新幹線のぞみ、全車指定席でも残る「不公平感」 ピーク期の「席取りゲーム」解消だが快適性は?

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もちろん、自由席では着席の機会を保証されないことは百も承知である。鉄道営業法第15条第2項に「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合二限リ乗車スルコトヲ得」(乗車券を持っている者は列車内に座席がある場合に限って乗車できる)という規定があり、字面だけ見ると指定席が原則となっているかのようにも見える。

が、この規定は、「乗車券を持った乗客であっても乗りたい列車に必ず乗れる権利を持っているわけではない」ということを定めたものと解されている。その裏返しとして、空席のない列車に乗客が乗ることを承諾し、鉄道会社も乗ることを許容するのであれば法令に違反しないとされる。自由席はこれに当てはまる。

自由席の問題は座れない可能性の存在ではなく、「着席機会が不平等」ということにある。

不平等な「席取りゲーム」

自由席では始発駅から乗車する乗客が着席機会の点でどうしても有利になる。途中駅で着席客が下車すればその分立ち客は着席機会を得られるが、中長距離利用が多く停車駅が少ない優等列車では機会は多くない。

着席中の誰がどこで降りるかなどは事前に知らされているわけでなく、遠くから乗車した立ち客が順番に座れる保証はどこにもない。混雑した自由席で展開されるのは、同じ基準で料金を支払っている乗客を参加者として、始発駅からの乗客にアドバンテージが与えられ、かつ、偶然に左右される不平等な席取りゲームなのである。

この不平等は、指定席化されれば解消される。予約の手間という指定席のハードルも駅や旅行会社におもむかなければ指定席券を買えなかった昔と異なり、今では一部の列車を除き、利用者が手元の端末を通じてオンラインで時間と場所を選ばず指定席券を予約・購入することが可能になっている。

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