新幹線のぞみ、全車指定席でも残る「不公平感」 ピーク期の「席取りゲーム」解消だが快適性は?

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好みの席も簡単に自分の端末で選択できるから、「不自由席」の度合いも軽減されている。指定席券の発売駅から遠いか近いかという地理的時間的条件に左右されることがなく、指定席券の購入機会も平等になった。ICカード乗車券やモバイル乗車券を使えば発券の必要すらない。

スマホなどで簡単に指定席を予約でき、乗るときにも並ばずに着席が保証されるというのは、着席機会の平等確保だけでなく、鉄道利用の心理的、肉体的負担を大きく軽減することにもつながる。

大量輸送優先は過去の話

列車内外の保安という面からも全席指定化の効能は大きい。

ここ数年、列車内での殺傷事件が世間の耳目を集めたこともあり、現代では列車内外の保安も関心の的となっている。混雑した駅や車内は緊急時の対応に支障を生じさせるだけでなく、人の密着により犯罪も誘発させやすい。

大量輸送への対応が優先された経済成長期は日本では過去のことである。鉄道側が旺盛な旅客需要をただ受け止めて列車を増発させるだけでなく、需要に対する路線の輸送力を勘案しつつ、保安と快適さ確保のために料金の変動や指定席化などにより輸送の分散・平準化させるなど制御することもこれからは必要になるだろう。

本数が「のぞみ」に比べ多くないとはいえ、近距離や、時間に余裕がある利用者は「ひかり」「こだま」の自由席へと誘導するというのもその1つである。

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