三菱自、海外専用「トライトン」を日本で投入の真意 「三菱らしさ」構築へ、ラリーの実績もフル活用

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三菱自にとって、自動運転やソフトウェアサービスといった新たな技術領域でどのように独自性を生み出していくかという課題もある。

自動車業界ではEVシフトとともに、車両の価値をソフトウェアが定義するSDV(Software Defined Vehicle)と呼ばれる考え方が広がっている。例えば、テスラが販売する自動運転機能ソフトウェアは「OTA(Over The Air=無線通信)」を通じたアップデートが可能だ。

また業界では、ソフトウェアを通じてゲームや音楽といったエンターテインメントやアプリ、決済サービスなどを新たな収益源とする動きが始まっている。テスラや中国のBYD、ホンダとソニーのEV合弁会社であるソニー・ホンダモビリティが展開するブランド「AFEELA」などは、こうしたエンターテインメント性や先進性を商品競争力として訴求している。

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三菱自は日産自動車とともにアライアンスを組むルノーが設立するEV新会社「アンペア」への出資について検討している。アンペアではソフトウェア領域の研究開発も強化する方針で、こうした外部連携をどう活用していくかも商品作りに重要な要素となる。

アウトランダーに4輪制御技術を搭載した意図

一方で、三菱自の開発フェロー・澤瀬薫氏は「今後も走行性や制御技術は商品の魅力として必ず残り続ける」と言い切る。自動運転が普及したり、エンターテインメント性が高まったりしても、運転の正確性や制御性、車内の快適性は価値として残り続けるとの考えからだ。

こうした考えを一部形にしたのが、主力SUV(多目的スポーツ車)「アウトランダー」だ。前後輪間のトルク配分や4輪ブレーキ制御を充実させた4輪制御技術を搭載した。「三菱らしさを象徴する技術に魅力がなければお客様には受け入れてもらえない」(澤瀬氏)。

十勝研究所に併設するレース施設を改修し、難路性を充実させた。4輪制御技術などもここで磨き込んだ(写真:三菱自動車)

EV時代、そしてSDVが重視されるようになるからこそ、ラリーレースから来るブランドイメージ、走行・制御技術といった三菱らしさを磨き上げる必要がある。それを新車開発やサービスにどう結びつけていけるかに、小規模メーカーの命運がかかっている。

横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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