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「100億円溶かした」洗濯物畳み機、失敗社長の教訓 セブンドリーマーズ阪根氏が語る「最大の反省」

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起業家としての手痛い失敗を通して、どんな教訓を得たのか。また、巨額破綻の失敗経験を持つ経営者にも資金が集まる理由は何か。経験者の起業家に直撃した。

阪根信一氏がセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ時代の経験を語る(撮影:今井康一)

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100億円超の大型資金調達に成功し、話題を呼んだセブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズを覚えているだろうか。中核事業だった全自動洗濯物折り畳み機「ランドロイド」の開発が頓挫し、2019年4月に破産した。

その元社長、阪根信一氏は現在、法人向け為替ヘッジの効率化サービスを提供するフィンテック系スタートアップ・ジーフィットの共同代表として再挑戦している。これにあたっては、セブン・ドリーマーズ時代の株主の一部からも再び出資を受けたという。

起業家としての手痛い失敗を通して、どんな教訓を得たのか。また、巨額破綻の失敗経験を持つ経営者にも資金が集まる理由は何か。阪根氏に直撃した。

最後は従業員の給料も払えず

――セブン・ドリーマーズが破綻した経緯について教えてください。

ランドロイドは2018年3月の発売を予定していたが、開発の途上で一部の肌着やごわごわしたジーンズを折りたためない問題が発覚した。そのまま発売するべきかどうか社内で議論した結果、モデルを作り変えようということになった。

ソフトウェアと(工場設備などの)ハードウェアを全部入れ替えることになったため、追加で40億円の資金が必要になった。だが、そのうち10億円しか集まらなかった。30億円分の資金が不足する中、どんどん会社の資金が減り、最後は従業員の給料も払えず、2019年4月に破産するに至った。

――当時を振り返ると、どんな誤算や反省点がありますか。

まず大きな誤算は、追加で必要になった40億円が集まらなかったこと。発売が1年から1年半遅れますと対外発表した際にも、株主の大手事業会社は支持してくれていたので、問題なく集まると思っていた。が、甘かった。

反省点はいくつかある。例えば、ランドロイドが衣類を精度よくたためないことについては、技術チームでもっと早くから対処していたら違う手が打てたかもしれない。

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