国軒高科の積極投資の背景には、アメリカで2022年8月に成立した歳出・歳入法(インフレ抑制法)の影響がある。
同法は、アメリカの消費者が購入するEV(電気自動車)に1台当たり最大7500ドル(約111万円)の税額控除を認める一方、EVに組み込まれる車載電池や電池材料の一定比率以上をアメリカ国内またはアメリカと自由貿易協定を締結した国で生産するよう求めている。
とはいえ、仮にインフレ抑制法の要件をクリアしても安心とは言えない。中国企業はアメリカ政府から国家安全保障や外交政策上の懸念がある外国の事業体と見なされ、制裁対象となる可能性があるからだ。
CATLは「迂回的な手法」で進出計画
そんななか、国軒高科は対米外国投資委員会 (CFIUS) に対して関連資料を自主的に提出し、審査を願い出た。同社が6月13日に出した声明によれば、CFIUSは「国軒高科の計画に国家安全保障上のリスクはなく、プロジェクトを推進しても問題ない」との結論を伝えてきたという。
直接投資でアメリカに工場を作る国軒高科に対し、異なる動きを見せているのが中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)だ。同社は迂回的な手法をとることで、アメリカに生産拠点を築こうとしている。
2023年2月、CATLはアメリカ自動車大手のフォード・モーターと「新形式の提携」に合意。その内容は、フォードが単独出資で(ミシガン州に)車載電池工場を建設し、CATLがリン酸鉄系リチウムイオン電池の関連技術や(生産立ち上げの)サポート・サービスを提供するというものだ。
アメリカのEV大手のテスラも、同様の方式でCATLとの協業を検討中とみられている。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月10日
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