中国「地方政府の財政悪化」が及ぼす意外な影響 環境関連企業の売掛金が増加を続けている

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環境関連企業の売掛金が増加し続けている背景には、業界で広く採用されている「PPP(官民パートナーシップ)」形式のビジネスの決済方法がある。元請けが事業を受注して、(複数の)下請けに再委託するビジネスモデルにおいて、個々の工事費用は通常、直接担当する企業が費用を立て替えておき、代金は後払いとするのが業界の慣行だ。

2014年ごろの北京市内。大気汚染対策など政府の環境予算積み増しを受け関連産業も拡大したものの……(写真:編集部撮影) 

経済情勢が悪化すると、発注元からの支払いは計画どおりには実行されなくなり、元請け企業も往々にして立て替え払いを嫌うので、多重的に未払いが発生、現場の企業であればあるほど工事代金の回収は難しくなる。

政府予算、コロナ対策のしわ寄せも

本記事は「財新」の提供記事です

華創証券は8月21日に発表した調査レポートの中で、2022年に広東省環境保護産業協会が発表した「広東省環境保護企業工事代金未払い状況調査報告」内のサンプル調査結果を紹介している。それによれば、未払い問題を起こした発注元は政府部門が全体の55.8%を占めた。未払いの原因は「政府の建設予算がおりてこなかったため」が最多で、次に「工事案件の延期」「工事の検収遅延」「財務審査の遅れ」などが続く。

2020年から2022年までの新型コロナウイルス流行期には、中国の中央政府と地方政府は財政面で防疫対策を優先したため、省エネ関連や環境関連の支出が大幅に削減された。その影響はいまだに続いている。

(財新記者:鄒露、王婧)
※原文の配信は9月7日

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