鉄道イラストで話題沸騰「始発ちゃん」とは何者か 最初はSNSで発信、現在はJRや3セクとコラボ

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大学を卒業した始発ちゃんは、ゲストハウスで働きながら鉄道を使って各地を巡り始めた。「私は旅が好きで、はじめてのさまざまな景色を見てみたいという思いを持ちながら、懐かしい匂いのする場所を求めて心の拠り所を探していたのだと思う」と当時の心境を振り返る。

このような想いで、石川県の「のと鉄道」能登線の廃線跡を旅していた時に出会った旧波並駅で、営業当時のまま放置されていたプラットホームから見えた美しい海の景色に感動し、鉄道イラストレーターとして活動していこうと決めた。イラスト作品は、主にツイッターで発信を続けることでファンが増えていったといい、その後、個展を開催できるまでになったという。

こうした始発ちゃんの作品の世界観は、映画や美術館の鑑賞によく行っていた「子供のころの懐かしい世界に帰りたい」という思いが原点になっているという。例えば、アニメ「クレヨンしんちゃん」の映画では、「子供のときは漠然と面白いとしか思っていなかった」が、大人になってから再び観ると「度々出る夕焼けのシーンに胸がぎゅっと締め付けられ、学校終わりに友達と公園で遊んだことを思い出し懐かしさがこみあげてきた」といい、そうした体験も作品の世界観に影響を与えている。

今後はマンガも描いていきたい

最近は、2023年3月31日限りで石狩沼田―留萌間が廃止されたJR北海道の留萌本線を4コママンガや駅のイラストで紹介する同人誌作品を仲間と一緒に制作し、東京ビッグサイトで開催された夏のコミックマーケットに出展した。

始発ちゃんの著作『るもいせん各駅散歩』(写真:山本留吉)

マンガ作品の制作は、「自分のイラストを見てくれた方が、よりその世界観に深く入り込めるようなコンテンツを作りたかったこと」から挑戦を決めたといい、分かりやすい解説を含めて「見る人」に寄り添えるように気を付けて創作活動を行った。

さらに、始発ちゃんは、「ツイッターなどの投稿を見ているとマンガはとても身近な存在で、ついつい読んでしまうものだと感じた。その中で、伝わりやすくするだけでなく、明るく面白い印象となるようにしたかった」ため、制作した同人誌作品には「ギャグ」の要素も取り入れたという。

全国各地で赤字ローカル線問題が表面化している中で、始発ちゃんのイラストやマンガを通じ、地方の鉄道に興味を持つ人が出てくるかもしれない。そんな人たちがモデルとなった場所に訪れれば、鉄道の支援につながるかもしれない。それは始発ちゃんの今後の目標でもある。

小椋 將史 ライター

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おぐら・まさふみ / Masafumi Ogura

2000年静岡県生まれ、岡山県育ち。
岡山県立岡山朝日高等学校、高知大学人文社会科学部卒。現在、高知工科大学大学院在学中。高校時代から鉄道ファンイベントの運営に携わり、広報活動を実地で学ぶ。2019年には井原鉄道などとコラボした「#鉄路でつなぐ復興のみち」を主催し、NHKや毎日新聞など多数のメディアに取り上げられた。

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