鉄道イラストで話題沸騰「始発ちゃん」とは何者か 最初はSNSで発信、現在はJRや3セクとコラボ

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列車通学を始めた当初は、鉄道に対する興味や関心は強いわけではなかったが、駅で目にする列車の行先から「列車の行先のさらに先にある自分の知らない世界に想像を膨らませていた」という。例えば、瑞浪駅で通学とは逆方向の「中津川行」の行先を見て中津川駅の先の世界への想像を膨らませていたほか、家族でのドライブでたまたま見かけた1両編成のローカル列車の存在に興味を持つこともあった。

始発列車での3年間の通学は「しんどいと感じることもあった」と振り返るが、それでも卒業まで通学できたのは「本当に行きたい高校に通わせてもらっていたから」と話す。こうした始発列車での通学経験が鉄道イラストレーター「始発ちゃん」の原点となった。

大回り乗車にドハマリした大学時代

高校を卒業した始発ちゃんは関東の大学に進学した。大学では友人に誘われて「大回り乗車」を知ったことで本格的に鉄道への興味を深めていくことになる。大回り乗車とは、「大都市近郊区間」と呼ばれる指定された範囲内では、実際に乗車した経路にかかわらず最安となる経路で計算した運賃で乗車ができるという特例を利用し、あえて遠回りの経路で乗車することをいう。

始発ちゃんは「隣駅までの運賃で多くの路線に乗車できるということに衝撃を受けた」と同時に「面白い」と感じ、その後、大回り乗車にハマり、さまざまな路線に1人で乗車しに行った。特に印象的だったのは、鶴見線を訪問したときのことで、「鶴見駅にあった乗り換え改札口で駅員さんに自宅最寄り駅からの初乗りきっぷを見せなければいけなかったときはハラハラした」と当時の思い出を語る。また、大回り乗車以外にも青春18きっぷで静岡や岐阜、京都へ行くなど鉄道での行動範囲が広がっていた。

絵を描くことが好きな始発ちゃんは、高校時代と同様に列車で旅する時は、乗客のスケッチも続けており、大学卒業時までにこうしたスケッチノートは延べ10冊以上に及んだ。このほかにも駅を題材にした手描きアニメーション制作を行ったこともある。こうした活動を続けていく中で大学卒業後は絵を描く仕事をしたいと思うようになっていったという。

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