ジャニーズ、スポンサー離れは"終わりの始まり"か ジャニーズ事務所が取り組むべき2つの「緊急課題」

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東京海上日動は、途中での契約解除も検討すると表明しているが、この点も大きい。タレントが不祥事を起こした場合であれば、スポンサー企業は事務所側に違約金等の補償を求めることができるが、今回の場合は契約条件を見る限り、それも難しいだろう。途中解約した企業は新しいタレントを起用し、新しい広告を制作する必要があり、手間もかかる。

一方、日本航空の方は、現在はジャニーズ事務所所属のタレントを広告には起用していない。にもかかわらず表明を行ったのは、ジャニーズ事務所と世の中に対して、明確に意思表示するという意図があったと思われる。

翌日、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングスも契約更新を行わないことを発表した。ビール・飲料メーカーは社会貢献意識も高く、ブランドイメージを重視する傾向がある。今後、同業他社も追随していくことが予想される。実際、サントリーホールディングスは検討中とされている。

米国に本社を置くP&Gの日本法人であるP&Gジャパンは、ジャニーズ事務所に対して、被害者救済や再発防止を強く求めている。P&Gに限らず、外資系企業、グローバル企業はコンプライアンスに厳しい傾向がある。特に、性加害への姿勢は海外の方が厳しい。

ジレンマから解放されたスポンサー企業

CMに起用しているタレント自身が不祥事を起こした場合は、不祥事の深刻さ、企業や商品に与えるダメージの大きさ等を踏まえて、継続起用の有無が検討される。

しかし、今回の場合は、タレントの不祥事ではなく、しかも加害者は故人である。

契約を継続した場合は「問題を起こした企業に利益誘導を図っている」という批判を浴びるし、解約した場合はファンを中心に「タレントには罪はない。取り下げるのはかわいそう」と批判を浴びる。どちらの選択を取っても、批判を浴びてしまうというジレンマに陥っている。

これまで、多くの企業は「タレントに罪はない」ということを重視し、「現在、調査中であり、事実関係を確認中」であり、「(調査結果を踏まえて)ジャニーズ事務所から正式な表明があるだろう」ということを理由に判断を先送りしてきた。「事実関係が確認されていない以上、判断もできない」という主張はそれなりの正当性がある。

しかし、ジャニーズ事務所側が記者会見で性加害の事実を認めた以上、判断を先送りにする理由もなくなった。

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