しかし、実は1990年代前半の日本は、これと似ていた。つまり、不動産バブル崩壊から銀行資本の毀損、企業資本の毀損の処理は本格的には起きなかった。
なぜなら、銀行および日本の膨大な個人貯蓄の範囲で一時的には吸収できてしまったからである。しかし、結局はこの一時的な処理の積み重ねで、銀行は耐え切れなくなり、そこへアジア金融危機が襲い、日本も巻き込まれてしまい、とどめをさされた。そのときには、国内には資本の出し手が不在となっており、株式市場も為替市場も海外トレーダーにやりたい放題、まさにオーバーシュートを利用して荒らされてしまったのである。
現在の中国の耐久力は、当時の日本よりも高いと思われる。ということは、処理がそれだけさらに遅れるのであり、非効率性の温存は日本以上に長く続く可能性があるのである。これが第1の理由だ。
かつての日本よりも高い非効率性、二重経済のツケ
第2に、中国の不動産バブル崩壊は、銀行および地方政府に大きなダメージを与えるはずだが、もともと土地は公有だったから、地方政府の資本が毀損したわけではない、損失というわけではない、という議論があるが、これも間違いだ。
なぜなら、不動産バブルの膨張を打ち出の小槌にしてしまった地方政府は、膨張を前提に動いているから、これが崩壊したら、収入減や、非効率な無駄遣いのつじつまを合わせるものがなくなり、あっという間に破綻するはずである。つまり、銀行を恣意的に利用してきたからこそ、非効率性は、かつての日本とは比較にならないくらいさらに杜撰であり、ダメージはとてつもなく大きくなる。
第3に、平均所得が高くなくとも、完全に二重経済であり、上海、北京などの沿岸部の所得水準は1990年の日本以上であり、この部分の打ち止め感はあるはずだ。ということは、これ以上の地方からの移動を都市部が受け入れる余地はないはずで、成長の持続も難しいだろう。
第4に、中国経済の成長は、この10年は完全に内需主導であり、この内需は、個人消費のほとんどは、不動産投資収益、含み益により、ぜいたjくをしてきた消費者による部分が大きい。そして、土地神話はまさに神話であったから、これがいったん崩れると修復は不可能であり、北京や上海は今も上がっているというが、それは相対的に一部に残っているだけのことであり、崩壊が広がるにつれて、こちらも投資は減るであろう。
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