JR東日本社長「新幹線の車内販売は当分続ける」 運賃制度やローカル線の今後までトップに直撃
――17%から先は?
シフトがさらに進めばもちろん良いが、東京の電車特定区間内完結となるすべての通勤定期券の17%がオフピーク定期券にシフトできればそのほかの区間を含めた通勤定期券全体のシフト率が5%になると試算している。まずはこの目標を達成したい。ほかの鉄道会社さんも注目している。しっかりと実績を出して多くの鉄道会社さんに参画していただければ、効果がより大きくなる。
1日の中のオフピークだけでなく、季節ごとのオフピークも重要だと思っている。年間で言うと3つのピーク、つまりゴールデンウィーク、お盆、年末年始の山が高い。これを地域の雇用の観点で見ると、ピークのときだけパートで働くような形になるので、継続的な雇用につながりにくい。今後、地方において観光は雇用の大きな受け皿になるので、安定雇用のためにもできるだけピークの分散を図りたい。
新幹線と一部の特急列車については、2022年4月から指定席特急料金を改定し、従来の繁忙期に加えて最繁忙期も設定した。最繁忙期は通常期の400円増しだが、この程度では効果が出ているとは言い難いので、もっと差をつけるようにしたい。
ただ、ネックがあって、新幹線は自由席特急料金が認可制になっていて、当社の判断だけで上げることができない。座席指定料金だけ上げると自由席が混んでしまうので、運賃制度をトータルとして考えていかないといけない。
運賃「首都圏も含め見直したい」
――鉄道運賃は原価を基準としてそこに一定の利潤を加えた総括原価方式が採用されていますが、いま国で新しい運賃制度のあり方について議論が進んでいます。
総括原価方式に基づく運賃改定スキームは航空や高速バスと比較すると硬直的であり、より柔軟で弾力的な制度の構築をお願いしたいというのがわれわれの希望だが、現行の総括原価方式を前提とする場合でも、原価の考え方について時代にふさわしい仕組みにしてほしいという要望をしている。今年度内には方向性を出していただけると思っている。
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