JR東日本社長「新幹線の車内販売は当分続ける」 運賃制度やローカル線の今後までトップに直撃

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――来年、2024年3月に北陸新幹線が敦賀まで延伸します。延伸区間の金沢―敦賀間はJR西日本の区間ですが、首都圏からの利用が増えればJR東日本にもメリットが大きいのでは?

金沢は新幹線開業前から知名度が高かったが、首都圏から金沢を訪れる人は意外に多くなかった。新幹線開業前の金沢へのアクセスは航空機、あるいは新幹線と在来線の乗り継ぎだったが、開業後は新幹線1本で行けるとあって、その便利さが非常に大きいことを認識した。福井開業もそれと同じ。かつての金沢同様、福井も首都圏からはあまり訪れていないと思う。福井は恐竜博物館があり、永平寺がある、食べ物もおいしいし温泉もある。魅力は多い。首都圏との行き来が便利になるダイヤにしたい。

JR東日本深澤社長 略歴写真
ふかさわ・ゆうじ/1954年生まれ。1978年東京大学法学部卒業、日本国有鉄道入社。1987年JR東日本入社。投資計画部長、人事部長、副社長などを経て2018年から現職(撮影:尾形文繁)

新幹線のワゴン販売「人手不足の問題大きい」

――旅の大きな要素の1つに車内のワゴン販売があります。JR東海は新幹線のワゴン販売を10月末で終了すると発表しましたが、JR東日本の新幹線は?

東海さんがやめたから当社もやめるということは今のところ考えていない。ただ、内容の見直しはしている。車内販売がない列車を増やすとか、お弁当の販売をやめるとか。逆にホットコーヒーやアイスクリームは1回やめたが、お客様の要望が多いので復活した。このように見直しをしながら、新幹線車内のワゴン販売は当分の間続けようと思っている。だが、東海さんと同じく人手不足の問題は非常に大きい。当社としても苦労している。

――人手不足はどうやってカバーしているのですか。時給が他社より高いとか?

時給はもちろんだが、地方というか、行き先のほうが採用できる。

――東京で集まらなくても、新幹線の行き先である青森や新潟で採用できるという意味ですか。

そう。そうやってなんとか回している。

――続いて在来線についてお聞きします。オフピーク定期券導入の手応えは?

現時点で東京の電車特定区間内(東京を中心に久里浜、高尾、大宮、取手、千葉に収まる範囲)で完結するすべての通勤定期券のうち、オフピーク定期券を購入した人の割合は7%程度。2024年4月までにこの比率を約17%にするという目標で取り組んでいる。定期の切り替えのタイミングは3月末から4月にかけてと、9月末から10月にかけてが多い。そこで9月末の切り替え時期に合わせてキャンペーンをやる。

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