太陽光や風力発電は脱原発の受け皿となれるか、新エネルギーへの期待と課題

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 だが、これまでの導入ペースは緩慢だった。過去10年余り、日本での風力発電導入量の年間平均は23万キロワットで推移し、増加の傾向をほとんど見せていない。電力会社が風力発電による電力買い取りを制限してきたことが一因だが、周辺地域の苦情もあった。風力発電機が発する低周波の騒音は、日本のように人口密度が高い国では特に問題となる。

環境省調査によれば、風力発電施設の16%に騒音の苦情が寄せられているという。洋上風力導入にしても、漁獲高への影響を懸念する漁業者への理解が必須となる。世界では本命技術の風力発電だが、日本では主流になりにくい事情がある。

ほかの有力な方式としては、火山帯の地下に井戸を掘り熱水や蒸気をくみ出して発電する地熱発電がある。特に日本のような火山大国において潜在力は大きく、その資源量は最大2000万キロワットと、原子力発電所20基分に相当する。
 
 ただ、現状の導入量累計は53万キロワットと、その2%程度にとどまる。地熱発電所の建設に適した立地の多くが、国立公園内や周囲に温泉があるため、観光業者などの理解が不可欠となる。風力発電と同様、周辺地域との摩擦が導入を阻む大きな要因となっている。

その点、太陽光発電は設備設置が比較的容易で、新エネルギーの中でも導入に伴う社会的軋轢が最も少ない。設置補助金や固定価格買い取りなどの導入支援を国が積極化できた一因も、ここにある。昨10年の国内出荷量は99万キロワットと前年比で約2倍。国の太陽光発電普及ロードマップによれば、今は用途の8割が住宅向けだが、今後は商業施設や事業所などの非住宅向けでも導入補助を強化していく。そして30年をメドに累積導入量を現在の約350万キロワットから1億キロワットへ急拡大させる目標を掲げる。これは想定される30年の家庭用電力の半分余り、総電力消費の1割程度を賄える規模である。

コスト高と蓄電に課題抱える太陽光

とはいえ、太陽光発電にも課題が山積する。第一に、主要な新エネルギー技術の中では群を抜いて高コストであることだ。現在の発電コストは火力発電所の6~7倍。この格差を反映して、現在の固定価格買い取り制度では、一般電力料金の2倍弱(住宅用で1キロワット時当たり42円)という高価格で、電力会社側は太陽光による発電電力を買い取っている。11年4月からは、月間で一律3~21円の電気料金上乗せという形で、一般家庭にもこの“逆ザヤ”分が負担させられている。


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