仮想通貨「バイナンス」が描く日本での勝ち筋 日本法人代表「初心者は顧客の中心に据えない」

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──暗号資産の取り扱い数を例にしても、規制の厳しい日本ではサービスがグローバルのものより見劣りするとの声もあります。

2022年に経営破綻したFTXの件もあって、規制が必ずしも悪いことではないと多くの人が認識していると思う。日本の規制は、交換所の資産と顧客の資産を分別管理するように義務づけている。これはユーザーにとってメリットになる。

またグローバルのサービスでは、日本円を扱っていない。日本のユーザーは、どこかの交換所で円を暗号資産に替えてから、バイナンスのグローバルサービスを利用している。だが、バイナンスジャパンでは円で入出金ができる。日本固有の暗号資産も扱いたい。その辺をアピールしていきたい。

規制環境下で成長できるかは挑戦

──グローバルサービスを利用している日本人は数十万人規模ともいわれます。国内交換所だとコインチェック、ビットフライヤーの口座数が180万前後で、3位グループが60万前後。それらに並べるのでしょうか。

グローバルサービスの利用者が見込みどおりに入ってくれば、肌感覚だが国内上位に食い込める規模になるとみている。グローバルのサービスは、暗号資産の知識や経験を積んだ人が使っている印象。バイナンスジャパンも、初心者を顧客ターゲットの中心に据えて、テレビCMを流すようなことはあまり考えていない。

バイナンスは速く物事を進めることへのこだわりが尋常でないほど強い。CZは15分以上のミーティングや背景説明を嫌う。そのため単刀直入に論点を示す必要がある。「私はこう思うがどうですか」と話を振らないと怒ってしまう(笑)。

スピード感を持っていたからこそ、急成長を成し遂げられた。一方でスピード感を維持しつつ、規制環境下で成長していくことが、次の挑戦となる。日本の事業でもそこがチャレンジとなる。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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