仮想通貨「バイナンス」が描く日本での勝ち筋 日本法人代表「初心者は顧客の中心に据えない」

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──CZ(シーズィー)の愛称で呼ばれる創業者のチャンポン・ジャオ氏は、どこかの法人で経営の指揮を執っているのでしょうか。

CZは各法人の実質的支配者であり、グループCEOであるが、どの法人に属するのかと聞かれると説明に困ってしまう。本社に経営陣がいるような普通の会社組織とはそこも異なる。

グループのトップであるCZの下に、地域ビジネスを統括する責任者がいる。バイナンスグループにおける私の上司はその責任者の1人。シンガポール金融管理局に長くいた人物で、シンガポール取引所(SGX)のコンプライアンス関連の責任者などを務めていた。

2017年にバイナンスを立ち上げたチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)氏。中国で生まれ12歳のときに家族とバンクーバーに移住し、カナダ国籍を取得。モントリオールのマギル大学でコンピュータサイエンスを学んだ(写真:ロイター/アフロ)

CZは「日本のポジションが面白い」と

──CZに直接会いました?

バイナンスに雇われることになる前に会った。(暗号資産交換業の登録なしに日本居住者向けにサービスを提供しているとして)日本の金融庁からバイナンスは警告を2回受けている。日本の規制に従って日本市場に本気で参入するのか、CZに直接聞かないと判断できないと思った。

会って話したところ、本気でやるということだった。なぜなら「グローバルでみた日本のポジションが面白い」と。

暗号資産に関する規制を各国が強める中、日本は2017年から規制を導入し、運用における経験値を積んできた。さらに岸田政権はWeb3(ウェブスリー)を成長戦略の1つに据えた。そのような状況を見て、当局と関係をきちんと構築し日本市場にコミットしていくと語ってくれた。

暗号資産やその技術が世の中に受け入れられていくには、今の社会制度に沿うべきだと考えている。その一例が日本市場への参入だと捉えている。コストを払ってでもちゃんとしたものをやりたいとCZは言った。その言葉を信じて私も取り組んでいる。

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