スポーツ登場間近トヨタ「クラウン」1年通信簿 大胆なクロスオーバー化は受け入れられたのか

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ところで、クロスオーバー車としての評価はどうであろうか。

クラウンは、永年にわたりトヨタの最上級車種として優良顧客に支えられてきた歴史があり、盤石な地位を築いた。一方、新型への代替を続ける顧客層の高齢化が懸念されてきた。打開策のひとつが、よりスポーツ色を強めたアスリートと名付けた車格の設定であったが、前型からはそれを廃止した。クラウンという価値そのものが、スポーティで若々しい気持ちを満たすクルマに仕立てられたからだ。そして今回は、車両形態そのものを新たにしたクロスオーバーでの導入となったのである。

クロスオーバー車となるが、従来のクラウン同様にショーファーカーとしての使いやすさも兼ね備えた車内
クロスオーバー車となるが、従来のクラウン同様にショーファーカーとしての使いやすさも兼ね備えた車内(写真:トヨタ自動車)

この結果、従来からの所有者の継続とともに、40代の若い世代の購入が加わったという。また、下取り車種もSUV(スポーツ多目的車)やミニバンが加わるようになり、顧客層の多様化が進んだといえそうだ。国内上級車種として圧倒的地位を占めてきたクラウンのなかで大きな懸念材料であった顧客層の若返りに、新型のクロスオーバーという車形は大きな効果を発揮したといえるのではないか。

クロスオーバーでもクラウンらしさを残す

新型クラウンのインテリア
新型クラウンのインテリア(写真:トヨタ自動車)

近年、新車市場ではSUVの人気が国産車・輸入車を問わず高まり、その影響で4ドアセダンに陰りが見えていた。一方、SUVは存在感が大きく、着座位置の高さなどから運転がしやすいなどの利点が語られてきたが、最低地上高の高さによって乗降性に難があると感じる所有者も多かったのではないか。

新型クラウンは、クロスオーバーの車形とすることにより、SUV的な外観の雰囲気を持たせながら、実際には最低地上高をそれほどあげておらず、乗り降りのしやすい仕立てとなっている。SUVへの期待と、従来からの4ドアセダンの乗降性が合体したクルマとなっている。

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