大阪万博「工事遅れ」背景に施工能力不足の深刻 大規模災害の復旧復興への対応をどうするか

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「東日本大震災の復旧復興工事も進む中で、大型都市開発事業に、東京五輪関連の施設・インフラ整備事業が加わって、十分な施工能力を確保できるのか」と質問すると、国交省幹部はかなり驚いた様子で、筆者が作成した再開発案件リストの提供を求めた。

国交省内で当面の建設需要に対して施工能力が足りるかどうかを検討したのだろう。年末までには、外国人労働者の活用などの対策を策定し、「官邸が了承した」との連絡があり、古巣の日本工業新聞(フジサンケイビジネスアイ)で記事にした。

今回の大阪・関西万博の開催にあたって、建設施工能力の検証は行われたのだろうか。建設投資額や着工床面積などのデータを調べれば、万博の準備には用意周到な建設計画が必要であることはすぐに気がついたはずだ。

建設業界では昨年9月の時点で「本当に間に合うのか」との懸念を万博協会に伝えていたというが、工事遅れの問題が大きく報じられるようになったのは今年の7月から。「何とかなるだろう」と安易に考えていたのであれば、認識不足と言わざるをえない。

この先の巨大地震に対応できるのか

万博工事の遅れは開幕を延期すれば解決できるだろうが、問題は大規模災害の復旧復興への対応をどうするかである。10万人以上の死者を出した関東大震災から今年で100年。この先、南海トラフ巨大地震や首都直下地震が発生することが想定される中で、復旧復興工事の遅れは、人命や経済活動に甚大な影響を及ぼすからである。

日本記者クラブで8月29日に記者会見した東京大学の目黒公郎教授(大学院情報学環総合防災情報研究センター長)によると、土木学会の試算で南海トラフ地震の経済損失は1541兆円、首都直下地震は855兆円と「国難的災害」になることが想定されている。これまでもさまざまな防災対策が講じられているが、住宅・建物やインフラへの甚大な被害は避けられないだろう。

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