Xでバズった「生誕祭開いたけどお客さんが1人しか来なかったアイドル」の動画には、もうひとり主役がいる。
ひとり、推し前でペンライトを振るお客さんだ。通称トモさん。
ここからは敬意を込めて、あえて「ヲタク」と言わせていただくが、うしおを推し始めてからのヲタク歴は1年ちょっとと短いものの、ほぼ全ライブに通っているという兵だ。
ライブアイドルを支える「ヲタク」という存在
「いや、あの動画があがって、少し経ってから見直したらバズっててほんと驚きました。正直、(推しが見つかって)嬉しいというよりは大丈夫かなって心配でしたね。動画をXにあげることは聞いていたので」
うしお界隈のヲタクは、みなトモさんが特典の権利者としてひとりでライブに参加していることは知っている。だからこそ、ネタ投稿がひとり歩きして拡散されたことに驚いていた。
「『凄いじゃん、でも、やばいんじゃないの?』とは思ったけど『チャンスじゃん!』ってなりましたけどね。歌も良いって褒められてたし。でも(うしおは)宣伝やらないもんな~(笑)」
絶好のチャンスを逃したと冗談交じりに語ってくれたのは、通称おつかれさん。彼もこの日のライブに来ていたひとり。
ヲタク歴も10年と長く、メジャーからライブアイドルに至るまで数多くを見てきた。それでも自分の推しがこんな形で世に知られるのは初めての経験だった。
彼の言う「チャンスを逃した」というのは、うしおがバズったことを活かしてライブを開催したり、PRのポスト(ツイート)をどんどんしなかったことにある。
フランス人留学生のエスポアさんも、チャンスを感じていたひとりだ。「日本に来てライブアイドルにハマった」という彼は、流暢な日本語で答えてくれた。
「うしおさんの歌声が好きなんですよ。生誕ライブも凄く楽しかったです! でも、ツイートのことは正直よくわかってなかったですが、凄いと思いました。いろんな人に歌を聞いてもらえるって」
ヲタクの中にも「素直に心配していた人」「チャンスだと感じた人」「裏切られたと思った人」などさまざまだった。
「勘違いして怒ってた人もいましたね。わかってるんです。売れるためには、ここでどんどんPRしなきゃって。でも、それ以上にファンの人たちを心配させちゃうといけないし、バズったことに対して余計なことはしないって決めてました」
何よりもファンのことを最優先に考えたうしおの結論は、バズったことに「これ以上触れない」ということだった。
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