トヨタ「ハリアー」やポルシェ「カイエン」など、2000年前後からスタイリッシュでありながらユーティリティにも長けた車種が続々と登場してきたことで、多くのユーザーが「無理しなくてもいい」と思うようになったことが、背の低い2ドアや3ドアのクーペの減少につながったと考えている。
そして、SUVのラインナップが増えると、さらにカッコ良さを追求した車種が生まれてくる。これがクーペSUVというスタイルだ。
その筆頭となったのはBMW「X6」で、2008年に登場。すると、BMWとともにジャーマンプレミアム御三家を成すアウディとメルセデス・ベンツも、それに追従。各ブランドとも、今では大小さまざまなクーペSUVをラインナップする。
ルノー「アルカナ」との違い
この流れはもちろん、ジャーマンブランドだけにとどまらない。フランスでは、2019年に登場したルノー「アルカナ」がこのスタイルに当てはまり、2022年にヨーロッパで3番目に売れたルノー車となった。独創的なハイブリッドシステムとともに、デザインが評価されているようだ。
そうなれば、ライバルのプジョーが黙っているはずはない。ということで、同じCセグメントに送り込んだのが、今回の408だと解釈している。
ただし、408とアルカナのボディサイズは大きく異なる。408が全長4700mm×全幅1850mm×全高1500mmなのに対し、アルカナは4570mm×1820mm×1580mmと、ひとまわり小柄なのだ。
これは、408がCセグメントの308と同じプラットフォームを使うのに対し、アルカナはBセグメントの「ルーテシア」「キャプチャー」のプラットフォームを拡大して用いていることが、大きいだろう。
数字の中で個人的に目を惹いたのは、全高だ。1500mmという数字は、クロスオーバーとしてはかなり低い。クロスオーバーのファストバックでこれより低いのは、1970年代以来グループを組んでいるシトロエン「C5 X」の1490mmぐらいだ。
C5 Xは長さや幅に余裕があるので、伸びやかさは一枚上手だが、おしなべて背が高くなった今のクルマの中に置くと、408のフォルムは流麗で、5ドアクーペと呼んでもいいのではないかと思うほどだった。
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