猫足も健在「408」に宿る"プジョーらしさ" クロスオーバーという新種に感じる伝統の技

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後席スペースも、ホイールベースが308ハッチバックの2680mmから一挙に2790mmに伸ばされたおかげもあって、身長170cmの筆者であれば足が組めるほど広い。

しかも、シートの座り心地は、ホールド性を重視して適度な硬さの前席に対して、後席は明確にソフト。筆者はその昔、車名で言えば408の前身に当たり、1987~1997年に生産された「405」を所有していたことがあるが、それに近い感触で、目的に合わせた作り分けに感心した。

GTのシートはテップレザー/アルカンターラ(筆者撮影)
GTのシートはテップレザー/アルカンターラ(筆者撮影)

荷室もまた、広くて使いやすい。408には1.2リッター直列3気筒ターボのガソリン車と、1.6リッター4気筒ターボにモーターを結合したプラグインハイブリッド車(PHEV)があるが、駆動用大型バッテリーの影響を受けないガソリン車の荷室容積は、後席を使用した状態でも536リッター、床下にバッテリーを格納するPHEVも471リッターを確保している。 

GT HYBRIDの荷室。バッテリー搭載によりガソリン車より床面が高くなっている(筆者撮影)
GT HYBRIDの荷室。バッテリー搭載によりガソリン車より床面が高くなっている(筆者撮影)

308(412リッター)を大きく凌ぎ、ステーションワゴンの308SW(608リッター)に迫る大容量だ。しかも、ファストバックゆえテールゲートが前後に長いので、奥の荷物が取り出しやすい。スペースをより有効的に使おうという気持ちにさせる空間なのである。

猫足を感じるコーナリング

走りについても簡単に触れておくと、加速は308より80kgほど重いことをほとんど意識させず、ガソリン車でも余裕を感じさせる。最近のプジョーでいつも感じることだが、8速のトルコン式ATがいい仕事をしている。

GT HYBRIDのエンジンルーム。1.6リッターガソリンターボに電気モーターの組み合わせ(筆者撮影)
GT HYBRIDのエンジンルーム。1.6リッターガソリンターボに電気モーターの組み合わせ(筆者撮影)

それ以上に感心したのが乗り心地で、プジョーらしい猫足をしっかり実感できた。それでいてi-コクピットならではの小径のステアリングを切ると、ノーズがクイックに向きを変え、しなやかな接地感とともにコーナーを抜けていく。

パワーユニットによる違いについて触れておくと、乗り心地がよりしっとりしているのはPHEVで、ガソリン車は軽快な身のこなしが印象的だった。 

実は408のタイヤサイズは205/55R19と、225/40R18の308GTに比べて、大径で細く、扁平率は控えめだ。これがプジョーらしい乗り味に貢献していることは間違いない。

美しさだけでなく、使いやすさや走りの心地よさも高水準にある408は、これまでプジョーを4台乗り継いできた筆者から見ても、魅力的な1台に感じられた。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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