ジャニーズとビッグモーター、渦中の企業の共通点 同族企業、資本関係…相違点はファンの有無?
「新たな疑惑」が報じられているかも異なる。ビッグモーターへのバッシングは、自動車保険の不正請求が発端となったが、これに伴う形で、街路樹への除草剤散布や伐採疑惑も取り沙汰されている。旧経営陣を忖度(そんたく)した結果だとしても、もし従業員が公共財を破壊しようとしたのであれば、「全社ぐるみの犯罪行為」と認識されても仕方ない。
また、「有識者チームの位置づけ」も異なった。ビッグモーターの報告書は、有識者による特別調査委員会が同社に提出してから、しばらく公表されずにいた。報道各社へのリークや、国土交通相の言及もあって、ようやく公表に至ったが、一連の経緯もあって、調査報告を軽視している印象を残した。
対するジャニーズ報告書は、5月26日から8月29日まで調査が行われ、その最終日に公表された。同日中に特別チームによる会見が開かれていることからも、迅速な対応であったと感じさせられる。
最大の相違点は「ファンの有無」
そして両社最大の相違点は、「ファンの有無」だろう。ジャニー氏そのもののファンではないにせよ、ジャニーズ事務所には所属タレントのファンが大勢ついている。特段ファンクラブに入っていなくても、バラエティやドラマでの活躍を見て、魅力や憧れを感じる「潜在的ファン層」は少なくないはずだ。
ビッグモーターの場合は、「整備不良品が並んでいるのではないか」といった具合に、店舗に並ぶ商品の価値すら、大幅に損なってしまった。その点、「タレント」イコール「商品」と表現するのは、安直で語弊があるとはわかっているが、少なくともジャニーズタレントの価値は、市場で受け入れられていると言えるだろう。
ネット上でも「タレントと経営陣はわけて考えるべきだ」との同情の声はあり、筆者もそれに理解を示している。これだけのことが起これば、たとえタレントが事務所を離れても、とどまっても、どちらも正解と言える。決断を評価するファンも残ってくれるだろう。
報告書の最後では「ジャニーズ事務所の『再出発』にとどまっていては足りない」として、「自ら先頭に立って日本のエンターテインメント業界を変えていく役割を果たすことを期待する」と提言されている。ここ数日は「9月7日の会見で新経営陣が発表されるのでは」との報道もある。新たなかじ取り役は、業界全体の旗手としての役割が求められている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら