「毎日50錠の市販薬を飲んだ」彼女の壮絶な体験 大学生2年生のときに薬物依存に陥った男性も

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薬をやめるきっかけは、仲間の逮捕だった。警察に捕まりたくない。そう思った勇さんは自らの意思で精神科医療施設に入った。

ただ、そこで薬の使用をやめることはできず、医師や看護師の目を盗んで処方薬を過剰摂取した。薬の入手方法はここでは伝えられないが、常に大量の抗精神病薬を入手し、使っていた。

仲間は逮捕、彼女の薬物依存を知った親とは疎遠となり、精神科医療施設の医者からも「あなたのような依存症患者は治せません」と見捨てられた。行き場がなくなった勇さんを受け入れたのが、今のダルクだったという。22歳になっていた。

薬をやめてから20年あまり。10年、20年使わなかった仲間がある日、ふとしたときに薬を使う言い訳を始める。そんな様子を見ていた勇さん自身、「使いかけたこともあるし、薬を使わない日が続けば続くほど、そこは本当に気を遣う」と話す。薬物依存に完治はないと自分自身に言い聞かせる。

「あのときの私、本当はいろんなことで満たされていたり、愛されていたりしたのに、自分は嫌われている、私は捨てられるって思ってしまっていた。生き方や考え方がゆがんでいて、何が真実なのかちゃんと見えていなかった」

隣に住んでいた男性に勧められた

もう1人、千葉ダルクで職員として働く田畑聡史さん(36)も、市販薬の乱用が原因で薬物依存に陥った。初めて使ったのは大麻。大学2年生のときだった。

「大学に入って1人暮らしを始めて、1年目は何とかなったんですけど、2年目で学校になじめなくなった。それで精神的にうつっぽい状態になっていったんです」

家に閉じこもるようになった田畑さんは、隣に引っ越してきた男性と仲良くなる。男性は大麻をやっていて、田畑さんも手を出してしまう。強制されたわけではなかったが、仲間外れになるのが怖く、「断りづらかった」という。

「それから数回、大麻を使いました。でも、やっぱり違法薬物はよくないっていう罪悪感が出てきたんです。そこでやめればよかったんですが、“じゃあ、市販薬にすればいい”って言われて。これは売っているものだから、違法じゃないからと、何かと理由をつけて使い続けるようになりました」

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