地銀再編で「負ののれん」が注目を集める理由 100億円単位の特別利益でも、素直には喜べず
結局、横浜銀は2023年3月期に逆ザヤに陥った外債の損切りを断行。186億円もの損失を計上した。それでも3月末時点で逆ザヤ状態の外債は簿価ベースで1800億円残っており、この処理が経営課題となっていた。
そこで目を付けたのが、神奈川銀買収に伴って発生する負ののれんだ。横浜銀は4~6月期に外債の現物と外債を組み入れた投信を売却し、206億円の損失を計上。一方コンコルディアFGの連結決算は、同時期に計上した負ののれん155億円と相殺する形で例年と遜色ない水準に着地した。
負ののれんは会計上の処理に過ぎず、現金が実際に転がり込むわけではない。それでも、決算上では好業績を上げたように映る。そこで負ののれんの額に見合うよう費用や損失を計上したり、増加した資本を株主還元に回したりする誘因が生まれる。
負ののれんを計上するケースがほかでも
負ののれんを享受するのはコンコルディアFGだけではない。長野県の八十二銀行は6月、同県2番手の長野銀行を株式交換で完全子会社化した。これに伴い、負ののれんとして173億円を計上している。
10月には福岡銀行を中核とするふくおかFGも、福岡中央銀行を完全子会社化する。株式交換比率から試算すると、負ののれんが200億円程度発生する見込みだ。
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