「二酸化炭素25%削減」は取り下げるな、今こそ長期ビジョンを示せ

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 さらに、スマートグリッド(次世代送電網)や省エネ技術革新による、大量エネルギー消費を前提としない産業構造への変革も必要だ。環境エネルギー政策研の飯田哲也所長は「水力を含めた自然エネルギーの割合を20年に30%(現状10%)に、省エネ・節電で今より電力量を2割削減することで、最先進国ドイツの自然エネルギー比率を上回ることができる」と言う。そして、自然エネルギーと省エネ・節電をエネルギー政策の“主役”にするためには、何よりもわれわれの意識改革が必要だ。

大震災で温暖化対策への思考が停止した。が、これを先送りすれば未来に禍根を残すことになる。今こそ大胆で覚悟あるエネルギーシフトへの長期ビジョンを、被災国日本が世界に先駆けて示すべき。そのためにも「25%減」は取り下げるべきでない。

(シニアライター:野津 滋 =週刊東洋経済2011年5月14日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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