「二酸化炭素25%削減」は取り下げるな、今こそ長期ビジョンを示せ

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 日本経済新聞では、東日本大震災の11日前、2月28日の社説で「国内では温暖化ガスを減らすため、原発の着実な新増設と、今ある約50基の平均で60%台に低迷する稼働率の向上が欠かせない」と訴えていた。震災前のエネルギー政策は政府、産業界、マスコミ挙げての原発推進一辺倒だったと言って過言ではない。

しかし、今回の事故でその方向性は大きく変わる。新規の原発建設は事実上不可能となり、既存原発にも見直しの動きが出ることは必至だ。

環境エネルギー政策研究所の推計では、新増設の中断、地震で影響を受けた原発の廃止措置などが進めば、50年すぎには国内原発の設備容量はほぼなくなるとされる。原発は通常40年が寿命とされる。

よって、今後のエネルギー政策は原発抑制→脱原発の前提に立って立案されるべきだ。また、エネルギー政策には安定供給、エネルギー安全保障、温暖化対策の三つの視点が欠かせないが、大震災からの復興などの現状を踏まえれば、三つの優先順位では、短・中・長期の三つの時間軸に分けて論じることが必要だ。

短中長期それぞれの指針を

まず、足元の原発停止による大幅な電力不足には、石油・石炭や液化天然ガス(LNG)などによる火力発電所を再稼働・増設して対応していくしか方策はない。CO2排出量増には目をつぶるしかない。

一方、中期的視点に立てば、温暖化対策への対応を先送りすることはできない。今年11月には南アフリカでCOP17が開かれる。これは20年までのCO2削減の新たな国際的枠組みを決める最終期限であり、現行の京都議定書を批准していない米中や途上国を含めた合意が求められる。

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