「水曜どうでしょう」地方発"異例ヒット"の事情 チームの一体感が生む「大人の青春」の魅力

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なかでも有名なのが、「サイコロの旅」。国内の場合、遠く離れた場所からスタートして次の仕事の期限までに札幌に帰るのが目的。ただサイコロの目一つひとつに行き先と移動手段が割り振られていて、出た目の指示に従わなければならない。

例えば東京が出発地点として、必ず北へ進めるわけではなく、いきなり飛行機、鉄道や夜行バスでまったく違うところへ行かなければならなくなる場合もある。

というか、当然そうなる確率のほうが高い。ひどい時には青森の弘前まで来ていながら、札幌との二者択一のサイコロで博多へ一気に逆戻りということもあった。だから、時間切れで失敗というケースもあった。

そんな予測不能な展開も人気を呼び、番組の人気は右肩上がり。北海道では深夜帯ながら15%以上の高い世帯視聴率を記録して、北海道以外でも放送されるようになった。ローカル局制作のバラエティ番組としては異例の躍進である。

レギュラー放送はいったん2002年に終了したものの、「藩士」と呼ばれる熱狂的ファンからの支持も根強く、いまも不定期ながら新作がつくられ続けている。そして今回、約3年ぶりの新作放送となったわけである。

ずっと変わらない大泉洋は永遠の「弟キャラ」

その間に、ご存じの通り、大泉洋はいまや誰もが認める売れっ子になった。

記憶に新しいところではNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年放送)や『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBSテレビ系、2023年放送)など、ドラマや映画での俳優としての活躍のみならず、3年連続で『NHK紅白歌合戦』の司会を務めるなど、タレントとしての活躍の場もますます広がっている。

福山雅治主演、大泉洋共演の『ラストマンー全盲の捜査官ー』は、FBI捜査官と警視庁刑事がタッグを組んで事件を解決するバディもの(画像:TBSの公式HPより)

『どうでしょう』は、そんなタレント・大泉洋の原点である(デビューも『どうでしょう』の前身番組『モザイクな夜V3』だった)。このときから大泉は、いい意味でまったく変わっていない。

タレントとしての大泉洋は万能型だ。トーク力があり、ボケることもできるし、ツッコむこともできる。司会進行もスムーズだ。それらを同時にこなすことができるのは、天性のものとしか言いようがない。

例えば、『どうでしょう』名物企画のひとつ「シェフ大泉」も、タレント・大泉洋の真骨頂を示すひとつ。

キャンピングカーでアラスカを旅する企画で大泉が料理係になったことから偶然生まれたものだが、料理のうんちくなどがうるさいわりに出来栄えが微妙、だがたまに奇跡的に美味しい料理をつくってしまうといったキャラクターの膨らませかたにも彼ならではの冴えが感じられた。

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