「障がい者に対する認識が変わった。ほぼ境目なんてないし、健常者となにも変わらないと思った。今までは障がい者だから優しく接しなければならないと感じていたが、今回の交流で普通の友達のような関係でいることが相手も自分も幸せになれると感じた」
「障害がある障害者と言葉で分けることができてしまって、心の壁がなかったと言ったら嘘になるが、今回の交流でその隔たりがなくなって障害のある方への理解が少しできたから今後は積極的に関わりを持てたらいいなと思いました」
「自分の家族も障害をもっており、やっとコミュニケーションをとれるようになったのが高校生になってからだったため、会話や教え合う事をすぐできるか疑心暗鬼でしたが、ペアを組んだ選手とは最後に冗談を言えるほどの仲になり、新しい友達が出来た感覚になりました。一言で障害者と括られている人の中でも色々な人がいて多種多様なのだと感じました」
事前に関連書を読み込んだ選手も多かった。みずみずしい言葉が並び、筆者は胸がいっぱいになった。
「何事にも本腰を入れて取り組む」姿勢
慶應高野球部は、野球だけでなく、何事によらず物事に正対して「本格的に、一生懸命に取り組む」姿勢ができているのだ。そして、彼らは「自分の言葉」で話すことができる。そこに感じるのは本当の意味での「ゆとり」だ。
「うちの生徒は、ほぼ全員慶應義塾大学に進学します。勉強は日々大変ですが、受験勉強はないんです。だから、何事にも本腰を入れて取り組むことができます。これもいいところでしょうね」
森林監督のこの言葉からは、私学の最高峰である「慶應」の教育のエッセンスがにじみ出ている。
甲子園のアルプススタンドは、連日、慶應高の大応援団で揺れた。その過熱ぶりはマスメディアで大きく取り上げられた。
88歳になる慶應義塾大名誉教授の池井優氏もアルプススタンドに駆け付けた。
「いや、暑いのなんのって、たいへんでしたよ。でも『陸の王者慶應』の横断幕が直射日光を遮ってくれて、助かりましたよ」
慶應高の大躍進は、高校野球の新たな進化の第一歩になるのかもしれない。
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