高齢者を支える流動食、東日本大震災で支援要請が殺到

高齢者を支える流動食、東日本大震災で支援要請が殺到

「入院患者含め230人以上孤立。餓死寸前。食料、医薬品至急求む」--。3月14日、流動食最大手のクリニコに届いた悲痛なメールは、宮城県柴田町の仙南中央病院から送信されたものだった。

東日本大震災の発生後、クリニコには、官公庁、医師、個人など多方面から被災者への支援要請が相次いでいる。「お得意先以外でも要請があれば最大限の支援をする」(常務取締役の浜田和久氏)覚悟だ。

震災後の約1カ月間、150の病院・施設に流動食約6万食、市販価格にして約1000万円を支援してきた。東北の営業所には本社から社員が応援に駆け付け、小田知雄社長も被災した得意先へ見舞品を届けるため2日間の車中泊を強行。「全社員、自分の仕事が人の命に直接かかわることをあらためて実感した」と、浜田氏は目頭を熱くする。

流動食とは「介護食」の一種で、粉ミルク同様、一部の人にとっては代替の利かない食事だ。かむ力や飲み込む力が弱い人のために食事を液状化し、安全に飲み込めるようにしてある。被災地域には高齢者も多く、配給されたパンなどがノドに詰まれば窒息しかねない。

クリニコの発祥は、1978年に森永乳業が100%出資で設立した「森乳ラボラトリーズ」(97年に現在の社名に変更)。当時、医療用流動食といえば手作りが当たり前とされていたため、メーカーが作るものは栄養士の仕事を脅かすとして門前払いだった。しかし2001年、ヒット商品誕生が転機となる。

栄養管理の課題を解消しロングセラーに

ヒット商品が誕生した背景には、医療現場における栄養管理の課題があった。長期入院患者の「微量ミネラル欠乏症」である。銅や亜鉛といった微量ミネラルを配合する有効な手段が見つからず、メーカー各社が悩んでいたとき、クリニコが着目したのは、銅の供給源として優れている大豆だった。そこで豆乳ベースで微量ミネラルを配合した「CZ−Hi(シーゼット・ハイ)」を開発。飲みやすさも受け、現在も医療現場で支持されている。11年4月1日には、消費者庁が流動食分野で初となる「特別用途食品 病者用食品 総合栄養食品」として認定した。

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