常見:どのようにその状況を乗り越えていったのですか?
五月女:会社としては、長く愛されるブランドを作るつもりでいたので、消費者の方々に楽しんで頂くために、唐辛子以外のフレーバー展開するようになりました。
常見:たしかカレー味やわさび味などがありましたね。
五月女:現在までに70種類以上の新商品が発売されましたが、ムーチョブランドを再加速させたのは、1993年に発売した「すっぱムーチョ」ですね。
小幡:辛さではなく酸味を押し出したスナック菓子です。女性にも受けいれられたおかげで、また徐々に売上も伸びていきましたね。これは、イギリスのフィッシュ・アンド・チップスにヒントを得た商品です。
常見:カラムーチョとすっぱムーチョの両方を展開することで、男性、女性の両方を味方につけたと。不思議に思ったのですが、なぜ湖池屋はそんなユニークで消費者にも受け入れられる商品を作り続けられるのですか?
五月女:湖池屋はお菓子を通じて心の満足度の高い商品・サービスを消費者に提供しようと商品開発をしてきました。経営層から一般の社員すべてにその考えが浸透していますね。そこが理由の一つだと思います。
小幡:プロモーションひとつにしろ、経営者層から「それは面白いのか?世の中に広がるのか?」と厳しく問われます。うちの会社ほどユーモアや独創性の追求に力を入れた会社も少ないでしょうね。
幻の「ロールケーキ味」
常見:無難であることよりも異端であることが受け入れられるわけですね。カラムーチョが他社の激辛スナックに負けず、生き残り続けたのも独創性があったからでしょうね。「味」「ネーミング」「プロモーション」、どれをとっても並ぶ商品はないと思います。余談ですが、昔は奇をてらいすぎた食品が出ていた時期がありました。そういえば、たこ焼きラーメンや、口の中で弾けるキャンディーなんかも発売されていました。
一同:(笑)
五月女:そんなのがあったのですか?
常見:たこ焼きラーメンはCMキャラクターが悪役女子プロレスラーのダンプ松本なんですよ。ラーメンの中にたこ焼きが3個入っていて、ダンプさんが「マジだぜ」とか「最初はみんな、わかってくれなかったんだ」「買ってよな。頼んだからな」とか言うんです。ラーメン屋にたこ焼き屋のクルマが激突するコマーシャルだったような。でも、美味しくないんですよ(笑)
一同:(笑)
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