苦境のさくらんぼ農園を救った「もりもりパフェ」 カフェを始めたら違う客層が集まってくれた

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委託加工の商品は、世の中に類似品があり価格競争になりやすく、レッドオーシャンで戦わなければなりません。そこで当社では、小さいロットでつくってくれるパートナーを探して連携しています。スモールスタートで始めて、売れ方を見ながら発注数をコントロールしています。

さくらんぼは生で保存するとしたら、冷蔵庫で保管してもせいぜい1週間が限界。それをジュースにすることで1年の賞味期限がつきます。そのジュースをさくらんぼソフトクリームに、ソフトクリームができればパフェに応用することもできます。

さくらんぼジュースは、そのまま販売することもできますし、2次加工の原料にすることもできます。常時確保していますので、いつでも新商品の開発に着手できます。ソフトクリームに入れる果汁(ジュース)は委託加工しています。カフェ(自社加工)は、委託加工がなければ成立しないのです。

当社では、近年、女性スタッフが増えています。カフェをはじめ、6次産業化を積極的に推進しているからです。特に加工品の商品開発やラベルデザイン、陳列、接客、カフェメニューの提供などでは、女性が大活躍しています。また、私たちのメインターゲットが女性で、女性の食べたいもの、欲しいものをつかむことが6次産業化成功への第一歩です。

「加工商品ありき」ではない

6次産業で加工商品をつくるより、生で売り切るほうが絶対に儲かります。なぜなら、加工商品は販売ルートが限られ、コストもかかるからです。加工原料や人件費を加工商品の原価計算に入れず、安易に値付けしているケースを見受けます。こんな加工商品をつくるなら、規格外品として生のままそれなりの単価で販売したほうがましです。

さくらんぼ社長の経営革命: 入園者ゼロになった観光農園の売上を過去最高にできたしくみ
『さくらんぼ社長の経営革命』(中央経済グループパブリッシング)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

6次産業化はマストではありません。チャレンジするなら、「1次×2次×3次」ではなく、「1次×3次×2次」の順番で進めるとスムーズです。まずは自分で農産物を販売するルートをつくってから加工商品をつくるということです。

祖父が果樹農業(1次)を始め、父が観光果樹園(3次)を立ち上げ、私がカフェ(2次)をオープンし、6次産業化の柱がたちました。ある時、この流れが1×3×2になっていることに気づきました。私たちが6次産業化で外部から評価をいただいているのは、先代の方々が舞台をつくってくれたからなのです。

矢萩 美智 やまがたさくらんぼファーム代表

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やはぎ よしとも / Yoshitomo Yahagi

1976年山形県天童市生まれ。果樹農家の三代目として1998年に就農。2011年法人名をまがたさくらんぼファームに変更し代表取締役に就任。王将果樹園園主、oh!show!caféオーナー、やまがたおいしいじはんき仕掛人。経営理念と目標を掲げ、自社の強みを最大化する戦略と戦術を構築し、果樹の生産、販売、観光、加工、飲食の5本の柱で持続可能な農業経営を目指す。異業種と連携した独自の6次産業化モデルを確立し、農林水産大臣賞を受賞。農林水産省認定の農福連携技術支援者として、障がい者雇用を増やす。視察受入や講演講師を積極的につとめ、食育や農業者の育成に力を入れる。

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