苦境のさくらんぼ農園を救った「もりもりパフェ」 カフェを始めたら違う客層が集まってくれた
東日本大震災があった2011年は、観光農園のお客様が激減してさくらんぼが例年以上に残り、大量に廃棄することになりました。悔しい思いをしたことは前回も書きましたが、今後も自然災害など、私たちがどうすることもできない外的要因により、さくらんぼが残ることがあるかもしれないと感じました。そこでチャレンジしたのが「6次産業化」でした。
総合化事業計画を認定していただいた翌年、2015年6月13日に、王将果樹園直営の「oh!show!café(オウショウカフェ)」をオープンしました。投資をしたのは、30万円のプレハブと看板ぐらい。メニューは、さくらんぼソフトクリームとオリジナルの100%フルーツジュースのみ。残ったさくらんぼとはいえ樹上で完熟したさくらんぼです。そのさくらんぼを果汁にしてオリジナルソフトクリームに混ぜ込み、新商品として販売し、結果、初年度に6カ月で6000本のソフトクリームのご注文をいただきました。
季節のフルーツパフェが誕生
ソフトクリームがうまくいったら次に商品化したいメニューは、すでに考えていました。「王将果樹園のフルーツをたっぷりのせたパフェをお客様に食べてもらいたい!」
カフェをオープンした翌年、2016年4月に新社屋が完成し、その中にカフェスペースを設け、2階にはカフェメニューを食べられるラウンジ席もつくりました。そして、念願の「季節のフルーツパフェ」を商品化しました。さくらんぼ、モモ、ブドウ、リンゴやセイヨウナシ、ラ・フランスなどの旬のフルーツをもりもりにトッピングしました。パフェにはすでに商品化していたソフトクリームを使用しています。
オウショウカフェ「季節のフルーツパフェ」の4つのコンセプトをご紹介します。
1. さまざまな品種の食べ比べができること
2. 山形のくだものにこだわること
3. 見映えがよく食べる前から楽しめること
4. ここでしか食べられないオリジナル商品であること
「季節のフルーツパフェ」は、発売後、すぐにオウショウカフェの看板メニューになりました。多くのテレビ番組、雑誌などで取り上げられ、SNSでも拡散されていきました。お金をかけた広告は一切していないのですが、いつのまにかある旅行雑誌の表紙になったり、山形県の観光パンフレットやポスターになったり、首都圏の多くの駅に掲示されたり、飛行機の機内誌でもご紹介いただきました。私たちが知らないところでどんどん有名になり、お客様に認知されていきました。
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