苦境のさくらんぼ農園を救った「もりもりパフェ」 カフェを始めたら違う客層が集まってくれた

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「季節のフルーツパフェ」を販売して、おもしろいなぁと思ったことがあります。それは、いらっしゃるお客様のエリアが変わったことです。パフェを販売する前は、約9割以上が山形県外のお客様でした。

山形県人には、フルーツ狩りというサービスはウケません。おそらく山形県内でさくらんぼ狩りを宣伝しても効果は限定的だと思います。なぜなら、隣近所、親戚、知り合いに果樹農家がいて、さくらんぼやラ・フランスなどは狩るもの、買うものではなく、貰うものだからです。山形では、さくらんぼやラ・フランスをはじめ、美味しい農産物は子どもたちの給食にも出てきます。

カフェの売り上げは4年で14倍に

パフェを販売してしばらくたった頃、駐車場のお客様の車のナンバーを見ると、山形県内のナンバーがズラリと並んでいました。さくらんぼやさくらんぼ狩りを販売しても売れないのに、同じさくらんぼがのったパフェは買ってもらえることに気づきました。こうしてカフェ事業は、山形県内や近隣のお客様にご利用いただけるようになりました。

サクランボのパフェ
大人気のさくらんぼパフェ(写真:やまがたさくらんぼファーム提供)

平日の午後は山形県内のお客様がほとんどです。移動距離が短いので混雑が予想される週末を避け、平日に足を運んでくださいます。移動距離が短いお客様は気に入ってくれると何度も通ってくれるようになります。中には毎年すべてのフルーツパフェをコンプリートする熱烈なファンも現れました。

また、コロナ禍で県境をまたぐ移動制限をかけられた状況でもカフェ事業の売り上げの落ち込みは、観光農園の売上と比較すると少なく、多くのリピート客に買い支えていただきました。

2019年、カフェの売り上げは2120万円になりました。オープンした2015年が150万円でしたから、4年で14倍に成長したことになります。2020年はコロナの影響で売り上げが減少しましたが、2021年は増加に転じ、2022年は過去最高の2200万円になりました。パフェの年間オーダー数は2万個、全オーダーの約75%がパフェ。オウショウカフェはまさしくパフェ屋さんなのです。

自社加工のカフェ事業は順調に伸びていますが、委託加工事業は横ばいの状況が続いています。委託加工とは、当社の原料を外部の加工業者に持ち込んで加工商品をつくってもらうことです。ジュースの他、フルーツソースやゼリー、ドーナッツ、ジェラート、ワイン、リキュールなどを商品化しました。

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