「未承認薬」が使える日は訪れるのか

米J&Jが患者の要請検討する委員会を設置

患者やその家族の中には、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを使ってキャンペーンを行い、製薬会社に要請を受け入れさせようとする人々もいる。

2014年には、致命的な感染症を患う7歳のジョシュ・ハーディの家族が、抗ウイルス薬を開発中の医薬品会社キメリックスに、未承認薬の使用を認めるよう要請したが断られ、その後フェイスブックやツイッターでフォロワーに訴えた。

何日も経たないうちに、支援者らは薬の使用を認めるよう、同社幹部に何千回もの電話やメール、ツイートなどを浴びせた。やがてキメリックスは、ジョシュや同様の患者が参加できる20人の臨床試験を開始すると発表。薬が効き目をあらわし、ジョシュは元気になっていると伝えられている。

「こうしたケースでは企業によって対応が異なり、また同じ会社であっても担当者によって対応が変わってくる」。こう話すのは、ハーバード大学医学部准教授で、最近コンパッショネート・ユースについて医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で執筆を行ったアーロン・S・ケセルハイムだ。J&Jのプログラムは限定的ではあるものの、「どのように前進できるかを示すモデルとなるかもしれない」と、ケセルハイムは言う。

最近、いくつかの州でいわゆる「試す権利」法案が可決された。これは、未承認薬使用のプロセスから、FDAの承認を取り除こうとするものだ。しかし、こうした法案に批判的な人々は、主な障害となっているのはFDAではなく、利用の可否を決めなければならない製薬会社だという。

SNSで多くの支援、署名を集めた男性

なお、ソーシャルメディアを使ったキャンペーンがすべて成功するわけではない。2013年に、3人の子供の父親で、進行した皮膚がん患者だったニック・オーデンは、当時臨床試験の後半段階にあった未承認薬の使用をメルクとブリストル・マイヤーズスクイブに要請。両社に断られた後、その決定を覆そうと運動を行った。実は、オーデンはメルクの臨床試験に参加することになっていたのだが、部分腸閉そくで入院したために、臨床試験に加われなくなっていた。

一家はオンラインの嘆願書で50万人の署名を集めた。フェイスブックでは何千人ものフォロワーを獲得、またイギリスのコメディアン、リッキー・ジャーヴェイスら著名人の支援をも得た。

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