「未承認薬」が使える日は訪れるのか 米J&Jが患者の要請検討する委員会を設置

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キャプラン氏「未承認薬提供には公平で一貫したシステムが必要」(写真:Richard Perry/The New York Times)

キャプランはこれまで、未承認薬を誰に提供すべきかを決定するに際し、業界にはより公平で一貫したシステムが必要だと論じており、J&Jの幹部が委員会創設のアイデアを彼に提案してきたときには非常に関心を持ったと話す。

キャプランはインタビューに答えて、「この仕組みをうまく作ることができたら、間違っていると不満を言うだけでなく、前進するための方法を提案するチャンスとなる」と述べた。

1980年代のエイズ(後天性免疫不全症候群)の流行時以来、製薬会社は緊急時には未承認薬の使用を認めてきた。この時、米食品医薬品局(FDA)も重篤な患者に未承認薬を提供するプロセスを立ち上げた。FDAは未承認薬の使用を認める場合が多いが、製薬会社が同意しなければFDAも使用を認めない。

利用を認めれば、臨床試験が遅れる恐れも

しかし、製薬会社にも簡単には同意できない事情がある。未承認薬の在庫は限られており、誰にその薬を提供するかを決めるのは難しい判断となる。また、未承認薬は効果を発揮しなかったり、害を及ぼしたりする可能性もある。

さらに、そうした医薬品の使用を認めるには時間や労力を割かなければならず、それによりその医薬品自体の承認を得るための仕事が遅れ、その薬を必要としているずっと多くの患者に提供できなくなる。この傾向は、特に規模の小さな企業で顕著だ。昨年のエボラ出血熱の流行では、FDAは未承認薬ZMapp(ジーマップ)のメーカーに対して、少数の患者に使用することを許可したが、メーカーの在庫はすぐになくなってしまった。

「イエスかノーか、白か黒か、簡単には決められない」。FDAで患者連携プログラムのディレクターを務めるリチャード・クラインは言う。「製薬会社に決定の責任を持たせなくてもいいのかもしれない」。

製薬会社に対して何人がそのような要請を行っているのか、信頼できるデータはない。しかし、FDAは企業からのそうした要請をほぼすべて承認している。2014年度に製薬会社がFDAに「拡大アクセス(治験用新薬利用拡大制度)」と呼ばれる制度の利用を求め、承認されたのは1873件だった。1014件を承認した2010年度と比較すると、85%の増加だ。

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