「日本一長い論述問題」どんな世界史の問題なのか 何が問われているのか、どう解くのか徹底解説

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もちろん年によって多少の変動はありますが、毎年のように、「〜について、以下の8つの語句を必ず一度は用いて、記述せよ」というような問題が出題されていて、その分量は500字〜600字。

自分の考えを述べさせる「小論文」が課されている場合を除く科目型の大学入試の問題の中で、いちばん長い問題なのではないかと言われています。

世界史の点数の半分が決まる問題

そして、東京大学は配点を公表していませんのでこの問題が何点分なのかは正しいデータはありませんが、東大生の間だと、「だいたい60点満点中30点がこの問題なのではないか」と言われています。

つまりは、東大世界史の点数の半分がこれで決まるというわけですね。とんでもない話ですね。

そしてここで出題される問題は、切り口が面白く、世界史が楽しくなる問題ばかりです。例えば、2003年に出題された問題はこんな問題でした。

私たちは、情報革命の時代に生きており、世界の一体化は、ますます急速に進行している。人や物がひんぱんに往きかうだけでなく、情報はほとんど瞬時に全世界へ伝えられる。この背後には、運輸・通信技術の飛躍的な進歩があると言えよう。
 
歴史を振り返ると、運輸・通信手段の新展開が、大きな役割を果たした例は少なくない。特に、19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、有線・無線の電信、電話、写真機、映画などの実用化がもたらされ、視聴覚メディアの革命も起こった。またこれらの技術革新は、欧米諸国がアジア・アフリカに侵略の手を伸ばしていく背景としても注目される。例えばロイター通信社は、世界の情報をイギリスに集め、大英帝国の海外発展を支えることになった。一方で、世界中で共有される情報や、交通手段の発展によって加速された人の移動は、各地の民族意識を刺激する要因ともなった。
 
運輸・通信手段の発展が、アジア・アフリカの植民地化をうながし、各地の民族意識を高めたことについて、下記の9つの語句を必ず1回は用いながら論述しなさい。
スエズ運河 汽船 バグダード鉄道 モールス信号 マルコーニ 義和団 日露戦争 イラン立憲革命 ガンディー (2003年東大世界史第1問 一部改変)

どうでしょうか?問題文だけで読み応えがあって、楽しいと感じませんか?

たしかに世界史において、運送の技術や、通信の技術が世界を変えたことはたくさんあります。でも、それを体系立てて頭の中で組み立てたことのある人は、東大受験生であってもほとんどいないと言っていいでしょう。

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