「日本一長い論述問題」どんな世界史の問題なのか 何が問われているのか、どう解くのか徹底解説
これ以外にも、第一次世界大戦と第二次世界大戦の違いを論じさせたり、文化の交流・女性の社会進出について論じさせたりと、多様な切り口の問題を出題しています。
もちろん、世界史の教科書には「運輸・通信手段の発展がどのように影響を与えたのか」なんてことはまとまって描かれているページがあるわけではないです。
しかし、それでもこの問題の答えはしっかりと、教科書のいろんなページを読んでいけばわかるようになっています。
「教科書にはきちんと答えが載っているのにもかかわらず、いざ聞かれると答えるのがかなり大変な問題が出題される」というのは、世界史以外の科目でも言える東大の特徴と言ってもいいのですが、この世界史の問題はその最たる例だと言っていいでしょう。
この問題をどう解くのか?
さて、みなさんはこの問題を見て、「この問題って、答え1つに定まらなくない?」と思った人もいるかもしれません。
「運輸・通信手段の発展がどのように影響を与えたのか」というのは、いろんな例がありそうです。電車の話をしてもいいし、車の話をしてもいい。いろんな答えがあるのではないか?と。だからこの問題は、知識を答える論述の問題というよりも、自分の考えを述べる小論文に近いのではないか?と。
僕も最初この問題を解いていた時はそう思ったのですが、何度も解いたうえで、この問題を解いた東大受験生たちと長く話す中で、実はそんなことはないということがわかってきました。
この問題、リード文が長く与えられていますよね?普通、世界史の問題でこの分量のリード文はありません。そして今回の問題で語られているのは、「19世紀半ばから20世紀初頭にかけて、運輸・通信手段の発展が、アジア・アフリカの植民地化をうながしたこと」、逆に「運輸・通信手段の発展が、各地の民族意識を高めた」ということです。
実はここ、スルーする人も多いのですが、いちばん重要といっても過言ではないんです。
なぜならこの問題は、このリード文をきちんと読解して、与えられた語句を使いながらそのリード文の内容を具体的に言い換えていく、という「読解問題」だからです。
この指定されている語句というのは、実はきちんとこの文脈に沿っています。
植民地化を促す流れのことを帝国主義と言いますが、このことを説明する語句としていくつかのものが与えられています。
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