日本が調査、ジャワ島鉄道「準高速化」空しい結末 インドネシア政府が白紙化、中国絡む「民活」へ

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ただ、高速鉄道のように注目を集めるプロジェクトでなければ、このような案件はほとんど人目に触れぬまま消えていく。「ODA見える化サイト」に反映されていないことも多い。JICAの調達情報から案件名などで検索しないと詳細情報にたどり着けず、このような状況を世間の目からなるべく遠ざけようとしているように感じる。そんな背景から、大手メディアも積極的に報じようとしない。筆者が2017年に前述の記事2本を公開した際はすぐに大使館から連絡が入り、面会を求められた。もちろん、筆者は事実を書いただけと突っぱねたが、それほどまでに触れてもらいたくなかったのだろう。

JICAとコンサル間の契約は巡り巡って国民の税金が使われている以上、公開されるべきであるが、一部の案件は契約額すら伏せられている。準高速化事業準備調査も本稿執筆時点で入札選定結果は空白のままだ。しかし、各コンサル契約では億単位の金が動いており、本体着工に至らなかったプロジェクトではそれが誰のためにも使われず、JICAからコンサルに支払われて終わっているのである。

そして、相手国はF/SやM/Pを承認しなくても、成果物として受け取ればそれを煮るも焼くも自由である。だから、設計書類がそのまま流用されるということが起きる。政治家や官僚の自己満足、そしてJICAの天下り先になっているコンサルの仕事づくりのための建前だけの要請主義は、今こそやめるべきである。そして、鉄道を国家の威信と政治の駆け引きのために使うべきではない。一体誰の金で誰のために鉄道を造っているのか、よく考えたほうがいい。

旧態依然のODAはもう限界だ

戦後賠償を源流とする日本の開発援助だが、つまるところ、目的は戦争で疲弊した日本の国内産業の活性化と輸出市場の確保だった。それが批判されることもあるが、当時の途上国が求めていたインフラの近代化や生活水準の向上は、外国からの資金や技術なしに成し遂げられるものではなかった。よって、双方は相互利益の関係で結ばれていた。

しかし、日本の国内産業は成熟し、リスクを負って海外に出ようとする力は減退した。一方で東南アジアを中心とする新興国は急速な経済発展を遂げ、自国予算と自国技術である程度のものは造れるようになった。中には、被援助国から援助供与国側に立場を変えつつある国もある。

そんな情勢変化の中で、旧態依然の日本式政府開発援助(ODA)は限界に来ているのではないか。少なくとも、ハコモノ依存の開発援助からは脱却しなければならない。そんなものは、インドネシアをはじめとする東南アジアの国々ではもはや自前でできる範疇なのだ。

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高木 聡 アジアン鉄道ライター

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たかぎ さとし / Satoshi Takagi

立教大学観光学部卒。JR線全線完乗後、活動の起点を東南アジアに移す。インドネシア在住。鉄道誌『鉄道ファン』での記事執筆、「ジャカルタの205系」「ジャカルタの東京地下鉄関連の車両」など。JABODETABEK COMMUTERS NEWS管理人。

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