このように、集団での意思決定では、皆が集まって議論をすればいいことが導けるとは限らないということを十分認識して取り組む必要があります。
ワークしないワークショップやめ、少数チームで挑戦を
先日、とある自治体の責任者が私のところに立派な冊子を持っていらっしゃいました。お話によると、1年間かけて、その地域の30人ほどが何度か集まり、ワークショップを行い、作成したということでした。デザインされており、綺麗な表紙に参加者の似顔絵までついていました。それに1500万円の税金が費やされたそうです。
皆の意見をたとえ出しあったとしても、それが何か具体的変化を生み出していないとなれば、全くの無駄だと私は思っています。事実、残念ながらその自治体には何の変化も起きていません。やはり彼らが出した結論については、今回のコラムで指摘した通り、多くの問題が含まれていました。皆が議論し、合意したからといって地域を救えるわけではないのです。本当に無益なことです。
責任をとらない100人の意見を集めるより、行動する1人の覚悟のほうが尊いのです。
小さなチームが自ら取り組みを始める時に、いちいち合意形成などというものは気にせず、「衰退をさせている問題の解決に必要なトライ・アンド・エラーをどんどんやってみよう」という状況に地域をもっていくことが大切です。
小さな取り組みが失敗したところで、地域への影響などたかが知れています。どんどんやってみて、残ったものこそが正解なのです。答えはやってみないとわからないです。
そして最初に皆の同意をとらずとも、やって成果がでれば、賛同者はどんどん増えていきます。合意形成は最初にするものではなく、やった結果をもってなされるべきものなのです。
今回のコラムで見てきたように、集団意思決定には、常に落とし穴があります。
単に合意形成を重要視し、皆が合意すれば地域の取り組みはよいものになる、という思い込みを捨てましょう。話しあいや調整ばかりして、挑戦する人々を潰すのではなく、挑戦する人を尊敬する。そのことから始めると、地域における取り組みは、もっと飛躍的に面白くなっていくと思います。
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