「60歳前後での結婚」は実際問題、うまくいくのか 夫婦仲に加え、気になる健康や親戚関係

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澄江さんは経済的な安定がこの結婚のメリットだと明言する。その他にも、料理の作りがいがあるので自分の食生活も改善した。お金と健康は老後に重要な要素だ。

「デメリットもありますよ。私たちは価値観が合わないことです。日々の会話がかみ合いません。私がボケを言っても、100のうち2つぐらいしかツッコんでくれません。でも、真面目な人なので『こういうふうにツッコミを入れてよ』と教えると、素直にやってくれます。男はこうあるべきだという考え方が強い人なのでモラハラ発言もありますが、そのたびに私がポキポキと折るようにしています」

なんだかんだ言って相性の良い夫婦なのだろう。昨年末に由里さんが高齢出産を果たした際は、産前産後の1カ月ほどは澄江さんと学さんが住む広い家で暮らしていた。

「私たち夫婦は寝る部屋もテレビを観る部屋も別々です。日中は元気すぎる主人は外で遊んでいます。私にはママさん支援のボランティア仲間ができました。女だけの旅行も楽しんでいます。基本的に別々に行動するのが夫婦円満の秘訣ですよ」

毒づきながらも幸せそうな澄江さん。気軽に言いたい放題に言える環境が何より大事なのだ。そして、そのためにやるべきことはやっている大人でもある。この人はさらに数年後も変わっていない気がする。

20年勤めた建築会社をセミリタイア

次に登場するのは、再婚するまではそれぞれ、離婚して一人娘を育てていた大谷幸太郎さん(仮名、66歳)と恭子さん(仮名、60歳)のカップル。結婚後、都内にある幸太郎さんの実家があった場所に新築の一軒家を建てて2人で住んでいる。

つらい離婚の後、再婚を選んだ幸太郎さんと恭子さんを取り上げた過去記事(イラスト:堀江篤史)

「妻の勤め先である建築会社にお願いしました。社割価格でやっていただけてありがたかったです」

控えめながらも溌溂とした雰囲気の幸太郎さん。8年前に設立した機械部品関連の会社も順調なようだ。

「そんなにカッコいいものではありませんよ。夫は会社経営者というよりも個人事業主です。朝早くから一人でがんばっています」

恭子さんがすぐにカットインしてきた。幸太郎さんはひたすら真面目で穏やかで、恭子さんがツッコミ役を担っているようだ。恭子さんのほうは20年勤めた建築会社をセミリタイア。娘や友だちとの海外旅行を楽しんでいる。

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