ここからは、【佳作】に入選した作品をいくつか抜粋して紹介しよう。
エントリーシート作成にも生成AI「ChatGPT」を活用する動きが徐々に広がり始めている。
学生個人で使いこなしているケースだけでなく、就職サイトの中にはChatGPTと連携して、キーワードからエントリーシート(自己PRなど)を自動生成してくれるサイトまである。学生はChatGPTのことをまるで理解していなくても、エントリーシートができあがってしまうわけだ。
そんな中、ChatGPTの便利さは理解しつつも、それに頼ることなく、自身の経験は自分の言葉で表現しようとする、就職活動に対する真摯な姿勢が伝わってくる作品だ。学生自身が考え抜いて選んだ言葉には、AIなんかでは表現できない志望企業への「熱い思い」が詰まっていると信じたい。
流行語の「蛙化」を取り入れた作品も
「蛙化現象」とは、Z世代が選ぶ「2023年上半期トレンドランキング」(Z総研)で1位となった流行語で、片思いから両思いになると熱が冷め、相手のことが突然嫌いになってしまう現象を指す。醜いカエルが王子に変身するグリム童話「カエルの王様」が由来(物語の逆パターン)だといわれている。
自身の第一志望として内定を目指して選考を受けてきた企業から、ついに念願の内定を告げる電話が掛かってきたにもかかわらず、その場で承諾をすることを迷ってしまった自分自身に驚いたという作品。
ただ、最終的には「迷って当然だよ」という採用担当者の言葉もあり、悩んだ末に、数日後には承諾の返事をしたとのこと。作者にとって、その企業が素敵な王子であることを祈るばかりである。
こちらの作品も「蛙化現象」をテーマにしている。長年憧れ続けてきた企業にもかかわらず、その企業の採用向けSNSで、新入社員が音楽に合わせて踊りながら自社PRをする姿を目の当たりにし、「うわっ、こんな風に踊らされる会社に入りたくない!」と一気に熱が冷めたとのこと。
企業から内定が出ていたわけではないので、「蛙化」といえるのかという点はさておき、気持ちは十分に理解できる。
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