「模試を受けても東大はいちばん下の判定しか取れませんでした。難しい駿台の模試を受けても、英語は60を超えましたが、数学は38しか取れない状況でした。その結果を見てメンタルがきつくなって、早く受験が終わってほしいと思っていました」
結局、この年の共通テストは900点満点中600点。足切りにならない文科II類に出願し、2次試験を受験することができましたが、合格最低点には80点足らずに落ちてしまいました。
「数学は模試で一桁台の点数しか取ったことがないので、英語で90点取る戦略を立てました。本番では数学で過去最高の18点を取れたのですが、英語で60点しか取れませんでした。日本史・世界史も30点弱、国語で60点程度と悪くはなかったものの、目標としていた点数には届きませんでした」
この年は東大一本しか受験をしていなかった彼女は、浪人を決意します。
東大に通っていない自分が想像できなかった
高校3年生の段階ですでに浪人を覚悟していた彼女に改めて浪人を決断した理由を尋ねてみたところ、「東大に行っていない自分の姿が見えなかった」と答えてくださいました。
「高校時代の私はすごく学歴厨でした。だから、『東大しか受けない、落ちたら浪人だ』と、視野が狭まっていたんです。高校3年生の12月に音大に行きたいという気持ちも芽生えたのですが、中学3年生からずっと東大を目指していた自分にとっては気の迷いだと思って断念してしまいました」
そう思った彼女は、「東京で講習を受けたときに環境がよすぎて感動した」という、東大志望の学生が集まる駿台御茶の水校3号館に通うことを決断し、東京で一人暮らしをしながら浪人生活を開始しました。そこで彼女は、自分の人生観を変える英語の先生にも出会います。
「駿台英語科の大島保彦先生の授業が自分の人生にいい影響を与えてくれました。何十カ国語も理解している大島先生の授業は『この単語はラテン語から来ています、ギリシャ語から来ています』と説明してくださり、受験勉強というよりも教養雑談といった内容で、学問をすることの楽しさ・喜びを教えていただいたんです。先生の授業を受けて、私は経済学部を目指す東大文IIじゃなくて、文学部を目指す文IIIに行こうと思いました」
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