7日乗り放題「北海道&東日本パス」で旅するコツ 便利だが低い知名度「18きっぷ」とどう違う?

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広大な北海道を普通列車で移動するのは大変だろうと誰しも想像はつく。実際、鉄道好きの知人でも、札幌からの都市間移動は特急列車を使うことが多い。私自身、若いころは特急も乗車可能な「北海道ワイド周遊券」が販売されていたこともあり、18きっぷの類で道内を周ることなど考えもしなかった。

けれども旅を繰り返すにつれ、そんな時間の使い方はむしろ贅沢であると気がついた。ダイヤが不便で乗り換え時間も余裕があるし、通過待ちや、通学の高校生に合わせた長い停車時間もあるので、見知らぬ駅前を散歩する時間が得られる。なにしろ大半の列車は空いている。

釧網本線 オホーツク海 車窓
釧網本線沿いに広がるオホーツク海(筆者撮影)

普通列車の旅で得られる出会い

この普通列車の旅で印象的だったことを挙げてみよう。

1日目はカキの町、厚岸が目的であった。ところがこの日は貝毒が基準値を超えてしまい、町からカキが消えていた。だが、道の駅「厚岸味覚ターミナル・コンキリエ」で地元・浜中産のソーセージを注文したところ予想外の発見であった。旅にトラブルはつきものだが、食事でも思い通りにいかないことがある。そんなときこそ、普段なら目が行かないものを試してみよう。厚岸漁業協同組合の直売店「エーウロコ」もオススメだ。地元のカキが割安で販売されており、その場で食べることもできる(コロナ禍で中止していたが、制限付きで再開している。ただし要確認)。

厚岸 道の駅 コンキリエ
厚岸の道の駅「コンキリエ」(筆者撮影)

翌日は摩周から滝川へ、ひたすら普通列車を乗り通した。JR北海道では新型車両が積極的に投入されているが、石北本線ではまだ昔ながらのキハ40系という車両が現役である。冷房など付いていないので、窓を全開にする。北海道の湿度のない爽やかな風が車内に入り込み、真夏のむせるような草の香りにディーゼルの軽油の匂いが混ざりあって、えも言われぬ旅情を感じることができる。こんな旅は全国でもなかなか味わえないだろう。

3日目は、今では廃止された留萌駅(2023年3月31日・留萌本線石狩沼田―留萌間廃線に伴い廃止)を訪ねた。泊まった宿で状況を聞くと、もともと業務客の需要が多いので留萌本線の廃止はほとんど影響がないとのことであった。実際、留萌に向かう車窓からは並行する深川・留萌自動車道を颯爽と高速バスが走っていくのが見えた。

留萌本線留萌駅
2023年3月で廃止となった留萌駅=2022年(筆者撮影)

入った寿司屋の大将に尋ねても同様であった。むしろ「え?観光に来たの?留萌、何もないでしょう」と驚かれてしまった。

翌日も普通列車の旅は続く。東室蘭から長万部までは、H100型という新型車両だ。この区間は通学の高校生が多く、混雑することが多い。私も周りを男子高校生に囲まれた。彼らが向かい合って熱心にテニスゲームの対戦をしている姿が微笑ましかった。

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