7日乗り放題「北海道&東日本パス」で旅するコツ 便利だが低い知名度「18きっぷ」とどう違う?

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けれども目的地が北海道の場合は、そもそも連続した行程になるだろうし、18きっぷよりも使いやすい。その利点を挙げる。

●新函館北斗―新青森間内相互発着に限り、特定特急券4000円の購入で新幹線普通車の立席利用ができる
●青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、北越急行線の普通列車が利用できる
●1日あたり1600円強なのですぐに元が取れるし、むしろ元を取ろうという気持ちにもならない

とくに北海道新幹線が利用できるのが大変便利だ。このパスはここに価値があるといっても過言ではない。それだけでなく「北海道&東日本パス北海道線特急オプション券」も用意されている。このオプション券の内容は以下のとおりだ。

●1日6110円で北海道新幹線・新函館北斗―新青森間の立席と、北海道内の在来線の特急列車の普通車自由席が乗り降り自由
●1枚の北海道&東日本パスに対して併用できる枚数に制限なし

これは強力で、新青森を早朝に出れば札幌どころか稚内、網走、釧路まで足を伸ばせてしまう。

なお、18きっぷでも「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」が2490円で用意されているが、奥津軽いまべつ―木古内間の北海道新幹線普通車の立席が利用できるだけで、実態として都合よいダイヤもなく機能しない。下手をすると1日無駄にする。

(注:2023年8月4日時点で、奥津軽いまべつ駅の最寄り、津軽二股駅を通る津軽線は2022年8月の豪雨災害で同駅を含む蟹田―三厩間の不通が続いており、代行バスによる運行となっている)

北海道&東日本パスで旅するコツは?

では、北海道&東日本パスを使いやすくするコツを書いてみよう。

「行程全部をこのきっぷで賄おうとしないこと」

の一言である。

例えば東京在住の者が、都区内から出発してすべて普通列車で北海道に向かい、さらに都区内まで戻ってくるには無理がある。行きの時点で函館にたどり着いたころにはすでに疲弊しているだろう。そこで北海道までは飛行機を使う。あらかじめ割安の航空券を買っておく。つまり旅を北海道スタートとして、徐々に戻ってくるのだ。もちろんその逆でもよい。新幹線を使うのもよいだろう。こうすることで、西日本在住の方でも一気に使いやすくなる。

2022年の8月、私自身この方法で北海道を周遊した。

【行程】
1日目:<羽田→(飛行機)→釧路> 釧路→厚岸→釧路→摩周(泊)
2日目:摩周→網走→遠軽→上川→旭川→岩見沢→深川→滝川(泊)
3日目:滝川→富良野→旭川→留萌(泊)
4日目:留萌→深川→滝川→岩見沢→苫小牧→東室蘭→長万部(泊)
5日目:長万部→函館(泊)
6日目:函館→新函館北斗→(北海道新幹線)→新青森→青森→(青い森・IGR)→滝沢→盛岡(泊)
7日目:盛岡→一ノ関→小牛田→仙台(泊)

なお、有効期限の7日目が仙台で終わっているのは、この日の夜にアウェー・ベガルタ仙台戦があったからである。私はJ2リーグのジェフユナイテッド市原・千葉を応援しているため、逆算して夏季休暇を取得したのであった。

期限の切れた8日目は、仙台始発の東北新幹線で帰京した。夏休みの混雑時期でも、仙台始発を選ぶことで自由席に余裕で座ることができる。これも旅のコツである。

北海道&東日本パス 周遊ルート
「北海道&東日本パス」での北海道周遊ルート。普通列車を利用して回った(筆者作図)
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