セブン、首都圏で「弁当チルド化」急ぐ意外な背景 フードロス削減に加え、迫りくる「危機」に対応
2022年秋以降、東京23区の西部にあるセブンーイレブンの弁当コーナーに変化が起きている。
「海苔弁当」など、20℃前後で管理される定温保存の商品がない。棚全体をカツ丼やカレー、中華丼など、5℃前後で管理される「チルド弁当」が占めている。その中には「牛カルビ弁当」など、通常店では定温保存の弁当がチルド化されているものもある。
セブンーイレブン・ジャパンの執行役員、笠石吉美QC・物流管理本部長は「カツ丼などのチルド弁当はマイノリティ商材だった。それが今や定温保存の弁当の売り上げを超える、主力商品に育ってきている」と語る。
チルド弁当は電子レンジでの加熱が前提で製造される。加熱しなくても食べられる定温保存の弁当と比べ、消費者に手間をかけるが、より低い温度帯で管理されるため消費期限が長い。その分廃棄される可能性も低くなる。セブンのみならず、大手各社が注力している領域だ。
チルド拡充の背景に物流危機
この「弁当フルチルド化」実験は「フードロスや機会損失の削減が最大の目的」(セブン広報担当)だが、実はもう1つ大きな問題が背景にある。「物流の2024年問題」だ。
物流の2024年問題とは、同年4月から「働き方改革関連法」の残業時間規制強化が運送業界にも適用され、荷物の未配や遅配、運賃の高騰などが懸念されている問題だ。原則24時間365日で営業し、在庫の保管場所が限られているコンビニにとっても、待ったなしの対応が迫られている。
コンビニはこれまでも物流改革に積極的に取り組んできた。業態のできた当初は取引のあるメーカーごとに商品を直送しており、「1店舗に1日70台以上のトラックが納品していた時代もあった」(セブン広報)。1980年代後半以降は、各メーカーが商品を共同配送センターに送り、そこで4つの温度帯ごとにトラックが集荷、各店舗を回る「共同配送」が定着した。現在セブンではトラックの到着は1店舗1日平均9台まで削減されている。
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